縦型ショートドラマの世界に持ち込んだ映画的手法
―――こねこフィルムが人気になった理由については、どのようにお考えですか。
龍一「映画的な演出が新しかったのかもしれないですね。従来の縦型ショートドラマは、1~2秒でカットがめまぐるしく切り替わる演出が当たり前で、演技や長回しといった映画的な手法が機能していなかったんですよ。だから、縦型というフォーマットで映画的な演出が見れるということが新鮮だったのかな、と」
―――スマホサイズの縦型ショートドラマの画面と映画のスクリーンでは、演出も大きく変わって来ると思います。両者で演出に違いはありますか。
龍一「正直、スマホサイズの画面は面白くないですよね(笑)。グループショットやアクションも撮りづらいですし、奥行きの演出も難しいので、表現の幅はかなり狭まります。
一方で、登場人物のバストショットが主軸になるので、演技の粗が見えやすいんですね。なので、映画以上に役者さんの力量が問われます」
―――では、役者への演出にはかなり力を入れているんですね。
龍一「そうですね。というよりも、それがすべてです」
俳優がすべて。三野氏の口から溢れたその言葉は、こねこフィルムのクリエイターたちの総意だった。後編では、こねこフィルムを彩る“あの“俳優たちの魅力や、演出に隠された秘密、縦型ショートドラマの可能性に迫る。
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