役者のリアリティが生む“こねこらしさ”
―――撮影の進め方を教えてください。
龍一「まず、『痴漢冤罪』とか、『年齢確認』といったように、スタッフ間で事前にログラインを決めます。で、撮影の3日前にタイトルと企画案、シチュエーションを共有し、当日現場で話を膨らませます」
―――ということは、台本がないということでしょうか…!?
龍一「そうですね。台本を現場で作りながら進めていきます」
―――それは瞬発力が求められますね…!
龍一「そうですね。現場はかなり緊張感がありますし、事前の準備ができないので、キャストやスタッフさんは大変だと思います。
でも、みなさん、訓練していくうちに上手くなって、2分くらいの台本もその場で覚えられるようになっていくんですよ。一番大変なのはたまにいらっしゃるゲストさんですね」
―――即興演出を採用される理由はなんでしょうか。
龍一「リアリティを重視しているという点が大きいですね。リハーサルを重ねて作ったものって、やっぱりどうしても面白さに欠けるんですよ。一方、現場で脚本を作るという進め方の場合、役者の生の反応や緊張感をそのまま映像に焼き付けられます」
―――そう考えると、選ばれるテーマも、『年齢確認』や『痴漢冤罪』といった、比較的身近なテーマが多いですね。
龍一「そうですね。基本的には、日常の“あるある”を誇張する、という方向で話を作っています。そういった意味では、漫才やコントのネタ作りに近いかもしれないですね。
ただ、コントの場合は、登場人物の描写に力を入れていますが、こねこフィルムではシチュエーションや空気感の面白さを追求するよう心がけています」
―――空気づくりというのは映画を撮る上でもとても重要ですよね。
龍一「僕は、映画監督の仕事って、空気を切り取る仕事だと思っていて、映画だとまずは空気感が出ていないと、視聴者に届かない。なので、映画同様、こねこフィルムも、空気感の統一はとても重要ですね」