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元のプロットから変更されたラストシーン

©2024「十一人の賊軍」製作委員会
©2024「十一人の賊軍」製作委員会

―――当時は一度ボツになった作品とのことですが、今の時代にこの「集団抗争時代劇」を制作することは、監督にとってどのような意味があったのでしょうか?

「集団抗争時代劇を作りたいと思った理由は、シンプルに僕自身が好きだからです。しかし、やはり戦争を描くというテーマも大きいですね。昔、笠原さんのプロットでは11人全員が戦って散っていく話でした。当時は高度経済成長期の中で、権力に対して華々しく戦い、散っていくこと自体が意味を持っていたのかもしれません。

でも今は、社会がもっと複雑化しています。さまざまな立場や背景を持つ人々がいて、それぞれが自分なりの正義を抱えています。そんな複雑さを反映した映画にすることで、今の時代に作る意義がより強くなるのではないかと考えました。戦争を通して、そうしたテーマを描きたいと思ったんです」

―――時代劇の利点として、「弱い者が命を使い捨てにされる不条理さを描ける」と、プレス資料にありましたが、このテーマを描く上で、監督にとって最も重要だったことは何でしょうか?

「現在も戦争している国は多くありますよね。たとえば、ウクライナ戦争もそうですし、罪人を使うといった構造はこの作品と同じです。だから、こうした状況でその立場に立ったら、誰でも必要に駆られれば同じことをしてしまう可能性があると思うんです。国が悪いとか、特定の誰かが悪いという問題よりは、そういう人間の行動を描くことが必要だと感じました。

時代劇は現代とは違い、民主主義でもなければ保険制度もない中で、不条理や命の軽さが描かれます。今よりも命を失うハードルが低い世界観ですから、その点が時代劇として僕なんかが作る映画との相性の良さがあるのだと思います」

―――元々のプロットと本作では、終盤の展開に違いはあるのでしょうか?

「具体的なシーンは伏せますが、新たに作ったシーンはあります」

―――終盤の展開を変更したことによって、どのようなメッセージを込められたのでしょうか?

「日本もいつ再び不穏な時代になるかは分かりません。だからこそ、どんな状況でも生きることの重要性を伝えたいと思いました。第二次世界大戦中、日本では『死ぬまで戦え』という教育が当たり前で、従わない者は非国民扱いでした。本作では、罪人を使い捨ての駒にして、あの手この手で国を守ろうとするけど、死んだところで何もいいことなんてない。『そういう時代だからこそ、まずは生きることが大事』というメッセージを持たせたかったんです」

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