映像の端々から感じるメンバーの絆
どんな作品でも大きなスクリーンで迫力ある映像が見られるのは映画館の醍醐味だが、本作も同様にメンバーひとりひとりの表情に迫るカメラワークによって、まるで目の前でライブを見ているようなメンバーとの距離の近さがたまらない。ドーム公演での大きなモニターとも違う、この没入感は映画館ならでは。
熱い歌唱が印象的なWEST.。楽曲の世界観に合わせた歌唱はもちろんのこと、特に胸を打ったのがメンバーによる息ぴったりの歌唱だ。
「証拠」のようにメンバーが息をスッと吸い込むのを合図にして歌い始める楽曲では、重岡大毅、桐山照史、中間淳太、神山智洋、藤井流星、濵田崇裕、小瀧望の7人構成でありながら、その歌い出しが完全一致というほどにタイミングが合っている。
もちろん歌い慣れていること、タイミングを合わせていることもあるだろうが、それ以上の“阿吽の呼吸”を感じるのだ。わずかな瞬間もしっかり捉えることで、そんなところからも彼らが歩んできた軌跡やメンバーの絆を感じた。
セットリストもライブの構成やCDアルバムのプレイリストとも違う、冒頭から思い切ったラインナップに驚かされる。これも歌唱力があるWEST.だからこそ実現したのだろう。
さらに、ストリングスやバンド演奏と共にパフォーマンスする楽曲も多く、映画館の様々な場所に設置されたスピーカーから放たれる音が会場全体を包み込むような立体感があった。丸みのある響きや力強さ、音の濃淡や立体感にDOLBY ATMOSの凄みを感じた。まるで目の前でライブを見ているような没入感は、会場を後にしてもしばらく余韻を残した。
近年では音楽フェスへの出演も叶えてきたWEST.。音楽番組等で目にする歌唱パフォーマンスの印象が強いかもしれないが、彼らのダンスにも注目。
一部の楽曲ではミュージカルのようなストーリー性を強調したパフォーマンスを披露したり、またWEST.らしいコミカルな楽曲があったり、様々なジャンルの楽曲を通して心を揺さぶる。
さらに、彼らの後輩である、関西ジュニアの伯井太陽とのコラボレーションでは、伯井のコンテンポラリーダンスを前面に、夢追い人を応援するWEST.という世界観へ立ち位置を変える一幕も。1つの楽曲を様々な角度から堪能できるのだ。