完全復活!
目で、耳で、心で感じるサカナクション
雨や雷の演出から幕が開き、ステージに“復活”という文字が躍る。そこで見えたのは、山口一郎(Vo/G)、そして岩寺基晴(G)、草刈愛美(B)、岡崎英美(Key)、江島啓一(Dr)の笑顔。5人で鳴らすこと、それらを届けられる喜びを今一度噛みしめるかのようなメンバーの充実した表情が印象的だった。
「Ame(B)」に続く「陽炎」で、すでに“祭り”の渦中に飛び込んだかのような高揚感を感じさせる。「アイデンティティ」「ルーキー」なども盛り込んだ前半は疾走感あふれるロックナンバーが印象的で、メンバーの息の合ったバンドセッションにも魅せられた。そうした一体感はエモーショナルで、どこか多幸感をも感じさせてくれるものだった。
中盤では、一気に“レイヴ”のようなエレクトロ空間へ。ド迫力の映像演出で観る者を驚かせながら、メンバー5人が横に並び、客席をダンスフロアに変える。次々に繰り出されるダンサブルなナンバーで観客を沸かせ、まさに音を“浴びる”かのような感覚を体感させてくれた。
終盤、「ショック」や「新宝島」などフックの効いたナンバーで会場のボルテージは一気に上昇。ステージとファンとの一体感も忘れ難い。「忘れられないの」で締めくくられるまで、まさに彼らのアート空間に誘われた、あっという間の本編。
抜群のセットリストで一曲一曲の個性を楽しむとともに、バンドのストーリーや懐の深さ、5人のケミストリーのすさまじさも感じさせられた。