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「役と自分がピッタリ重なった」映画『生きててごめんなさい』。ヒロインを務めた女優・穂志もえかインタビュー

text by 福田桃奈

『新聞記者』の藤井道人が企画・プロデュースを務め、山口健人監督がメガホンをとった映画『生きててごめんなさい』が2023年2月3日より公開される。今回は、同作でヒロインを演じた女優・穂志もえかさんのインタビューをお届け。今作に懸けた想いや撮影秘話、独自の演技観についてじっくりお話を伺った。(取材・文:福田桃奈)

【穂志もえか プロフィール】

写真宮城夏子 ヘアメイク髙田裕栄HAPPSスタイリスト高橋茉優

1995年8月23日生まれ、千葉県出身。上智大学文学部卒。特技はバレエ、アルゼンチンタンゴ。講談社主催のオーディション・ミスiD2016 グランプリ。2017年、テレビ東京「100万円の女たち」で連続ドラマ初出演。その後も定期的にドラマ、映画などに出演する。主な参加作品は映画「少女邂逅」(枝優花監督)、「花束みたいな恋をした」(土井裕泰監督)、「街の上で」(今泉力哉監督)ではヒロインを好演し、昨年は「窓辺にて」(今泉力哉監督)に出演。現在、TBS系ドラマ「100 万回言えばよかった」に出演中、アメリカテレビシリーズ「SHOGUN」の放送が控える。

「脚本を読んだ時“これは私のこと?”と思った」
現場では莉奈が“内在”していた

―――脚本を読んだ時の第一印象を教えてください。

「オーディションの際に、本作のシナリオを初めて読ませていただき、『これは私のこと?』と思うくらい、共感できる部分が沢山ありました。その後、撮影の準備が進行する中で、シナリオは大きく変わっていき、結末や私が演じた莉奈の描かれ方が、初稿と最終稿とでは大きく異なるものになりました」

―――シナリオはどのように変わっていったのでしょうか?

「最終稿では、黒羽麻璃央さん演じる修一がコンプレックスを乗り超えていく過程がしっかりと描かれています。個人的には、初稿も好きではあったのですが、完成した作品を観て、最終稿で良かったのだと思いました」

―――修一と莉奈が言い合うシーンが多くありました。撮影にはどのように挑みましたか?

「山口監督と、莉奈がどういう人物か綿密にディスカッションさせていただけたことで、役柄に対する疑問が消え、莉奈と私が重なり、カメラ前に立っていればいいだけの状態で現場に居ることができました。カメラの前では、黒羽さんのお芝居を新鮮に受け止めることを意識しました」

©2023 ikigome Film Partners

―――黒羽さんとは初共演となりましたが、第一印象や現場でのエピソードがあれば教えてください。

「黒羽さんは舞台で活躍されている俳優さんですが、私には舞台経験がありません。リハーサルでは、それぞれの芝居の性質の違いに戸惑うこともありましたが、時間を重ねるにつれて、徐々に芝居の歯車が合っていきました。撮影前は、黒羽さんに対して、容姿端麗で、隙がない印象を持っていましたが、撮影を通じて、役柄と同化するように、情けない部分をさらけ出し、苦しむ姿をお見受けして、変化を柔軟に受け入れることができる素敵な役者さんだなと、尊敬の念が深まりました。とはいえ、現場では「おはよう!寝れた?」と、軽く挨拶を交わすくらいで、そんなに沢山お話はしませんでした」

―――では「次のシーンはこうしよう」など相談し合うこともなかったのですね。

「なかったですね。喧嘩をする時はお互いわかり合えていないわけですから、現場で深い話をしなかったのは、お芝居のアプローチとして良かったのかもしれません」

―――プレスリリースに寄せられたコメントによると、『自分と役柄との境界線がわからなくなるくらい没頭した』ということでしたが、現場では終始、役が抜けないような状態だったのでしょうか?

「現場入りして、スタッフさん達とたわいも無い話をしている時は、素の穂志もえかとして居ましたが、撮影期間中の感覚を言葉にすると、“莉奈が内在している感じ”といいますか。現場に入って、テストをして、本番が近づくにつれて、だんだんと莉奈の割合が多くなっていく感じです」

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