真顔と笑顔に引き裂かれる映画体験
注目は豪華なキャストに加えて、総勢約7500人といわれるエキストラ。彼らが細胞に扮したコスプレに近い衣装と、壮大なスケールの体内をイメージしたセットは目を見張る。ここで細胞たちが病原菌や体内トラブルと戦うことが物語のメインだ。
ちなみに映画のCMなどでよく見かけているであろう、赤血球(永野芽郁)と、細菌やウイルスを排除する白血球(佐藤健)も同じ場所で活躍する。
日常生活の何気ない擦り傷も「すぐに治るから」と放置しがちだけど、実は体内では交通事故でも起きたかのような大騒ぎ。事態を収束させるため、多くの細胞が身を挺してはたらいている。
何気ないくしゃみだって、立派な発作。体が受けたダメージを回復させるため、細胞が必死にはたらく…というよりは、戦う。細胞に影響を与える悪者が出てくれば、細胞たちは容赦なく、体を守るために相手を殺していく。スクリーンいっぱいに広がるデストピア感のある風景は…戦場だ。
かと思えば、人間の体調が良ければ細胞たちは明るい体内で、笑顔で楽しそうにはたらく。まるで体内はディズニーランドのように輝いている。陰と陽がひたすら繰り返されているような体内で、細胞たちが必死で頑張っている…と脳内が真剣モードに引っ張られそうになるが、ふと『はたらく細胞』はコメディだと振り返る。ああ、観ているこっちも忙しい。
ちなみに白血球に扮する佐藤健、顔がしっかりと白塗りだった。一歩間違えればホラー映画『テリファー 終わらない惨劇』のピエロのよう…いや、バカ殿にだって見えてしまうかもしれないのに、やっぱり彼は格好良かった。白塗りだろうと、なんだろうと、どこまでも佐藤健だということはメモしておく。