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観終わって我が身を振り返る

映画『はたらく細胞』
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会

 映画を観終わって、劇場を出ていくときに5〜6歳の女の子が興奮しながら母親に話していた。

「ねえ、ママ、すんごい、こわかったね〜! あとさあ、パパのからだ、もうだめじゃない?」

 おっしゃる通りである。パパこと漆崎家の茂は健康診断の結果が最悪で、体内では悪細胞がウヨウヨと浮上。父親の体調を心配した娘が、栄養バランスの取れた弁当を作っても「量が足りない!」と勝手にカップラーメンも食べて、酒を飲んで、紙タバコを吸う。

 加えて切れ痔も発症中の茂…白血球たちは彼の体は労働環境が悪すぎると不平不満を漏らす。中には劣悪な環境に耐えることができず、細胞としての役割を終えてしまう者も…。

 茂のシーンを観ながら「ごめん、自分の体」と思う、中年の私。タバコこそ吸っていないけれど、酒もカップ麺も好きである。背徳感はどこかに感じているけれど「1日頑張っているのだから、いいじゃないか」と自分だけにはべらぼうに甘い。おいしいものほど、体に悪いとはわかっていても、体内では悲鳴が上がっていたのだ。ここで我が身を振り返って“健康”という言葉を意識するかどうかで、明日は変わるよなあ、と思いにふける。

『はたらく細胞』は公開初日から3日間で観客員61万2,000人を動員。細胞数にこそ満たないけれど、もうヒット作だ。興行収入は8億4,500万円を記録、最終興行収入50億円も視野に入っているというではないか(※数字は興行通信社、配給会社調べ)。

 劇場へ集まっている多くの皆さま。できれば鑑賞後は自分の体を見直して、もし健康診断へ行っていないのなら、そろそろ出かけてみませんか。あなたの体、見えないところで、すんごい頑張っているんですよ…と、筆を進めていたらふいにくしゃみが出た。ああ、今ごろ体内は大騒ぎなのだろうかと、細胞たちのことを思い返す。

(文・小林久乃)

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