BABY METALのライブシーンに感動…サブスク時代の音楽業界のリアルとは? 映画『ヘヴィ・トリップⅡ』解説レビュー

text by 青葉薫

12年間一度も客前に立ったことのないフィンファンドの片田舎で活動するメタルコピーバンド「インペイルド・レクタム(直腸陥没)」を追ったドキュメンタリー『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(2019)の続編となる『ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一髪!』が公開中だ。本作のレビューをお届けする。(文・青葉薫)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:青葉薫】

横須賀市秋谷在住のライター。全国の農家を取材した書籍「畑のうた 種蒔く旅人」が松竹系で『種まく旅人』としてシリーズ映画化。別名義で放送作家・脚本家・ラジオパーソナリティーとしても活動。執筆分野はエンタメ全般の他、農業・水産業、ローカル、子育て、環境問題など。地元自治体で児童福祉審議委員、都市計画審議委員、環境審議委員なども歴任している。

音楽映画であると同時にオリジナルアルバムでもある

© 2024 Making Movies, Heimathafen Film, Mutant Koala Pictures, Umedia, Soul Food
© 2024 Making Movies, Heimathafen Film, Mutant Koala Pictures, Umedia, Soul Food

 フィンランドで有名なものといえばサンタクロース、サウナ、幸福。そしてヘヴィ・メタルだ。嘘のようだが本当の話である。主要都市であるヘルシンキはヘヴィ・メタルの聖地として知られ、多くのメタルバンドを世界に輩出し続けている。

 ”世界一幸福な国”ともいわれるフィンランドの国民的音楽がどうしてヘヴィ・メタルなのか。その疑問は本作を観れば一発で理解できる。と思う。

『ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一髪!』

 フィンランド映画=アキ・カウリスマキという固定観念が吹っ飛ばされる爆笑メタルコメディだ。タイトルに「Ⅱ」と入っているように続編である。が、一作目を観ていなくても何の問題もない。ファーストアルバムを聴いていなくてもセカンドアルバムやサードアルバムが聴けてしまうのと同じだ。そう、本作は男が長髪を棚引かせているだけで「ホモ野郎」と蔑まれるフィンランドの保守的な村で結成されたヘヴィ・メタルバンド「インペイルド・レクタム」の青春音楽映画であると同時にオリジナルアルバムといえるかもしれない。

 ちなみに「インペイルド・レクタム」というバンド名は直訳すると「直腸陥没」。バンドのキャッチフレーズは「終末シンフォニック トナカイ粉砕 反キリスト 戦争推進メタル」(おそらく本人たちにも意味は理解できていないのではないだろうか)。これだけでも作品の雰囲気は十分伝ったと思う。ならばそんなバンドの紹介もかねて彼らのファーストアルバムに当たる前作のストーリーを紹介しておこう。

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