作品に込められたリアルとコメディのバランス

岸善幸監督、写真:武馬怜子
岸善幸監督、写真:武馬怜子

―――ロケ地を決めるのも大変だったと聞きました。ロケハンなどは入念にされたのでしょうか?

「撮影に入る2ヶ月前くらいからロケハンをしました。コロナ禍の中、釣り好きの晋作が、釣りをしながらリモートワークで仕事ができる場所を探しているときに、理想的な空き家を三陸に発見してやってくるという設定で、その空き家の大家さんが町役場に勤める関野百香(井上真央)。

晋作は彼女をきっかけに町の人との交流を始めるわけです。コロナ、震災、東京からの移住、放置されている空き家などさまざまな社会問題を内包している作品ですが、基本はコメディなので、明るさを意識しながら、ロケ地はとても慎重に選びました」

―――晋作が選んだ家は眺めもよくて最高でしたね。

「晋作が借りる家と大家さんの百香の家はどれくらいの距離か考えながら、架空の地図を作って、晋作の家、百香の家、みんなが集う居酒屋、町役場など脚本に沿った理想の配置を決めていきました。

晋作の家は、設定上、比較的新しい家で2階からサンセットが見えるという条件で、制作のスタッフが宮城県だけでなく岩手県にも足を運んで探してくれました。探し当てるまでには、本当に大変そうでしたが、よく頑張ってくれました」

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