「素晴らしい宮藤さんの世界を観客の皆さんにも伝えたい」
岸監督が語る宮藤脚本の魅力
―――本作は岸監督にとって初のコメディ作品だそうですね。泣かせるより笑わせる方が難しいと言いますが、初めてのコメディ映画の手応えは?
「宮藤官九郎さんの脚本があるので、宮藤さんの世界観を大切に作り上げれば、笑いは取れると思いましたが、難しかったのは編集ですね。約120分間に収めなければならないので。
撮影現場では、俳優たちの芝居の駆け引きが素晴らしく、モニターを見ているだけでも笑えたのですが、編集するときは、現場での笑いの間を途切れさせないようにしないといけないなと、これまでの作品以上に意識しました。最初の試写でスタッフみんなが笑いながら観てくれたのでほっとしました」
―――岸監督が感じた宮藤さんの脚本の魅力は?
「宮藤さんにしか書けないセリフがあるんですよね。宮藤さんのこれまでの生き様とか、キャリアから来るものなのかもしれませんが、まず僕が書けるようなセリフじゃないんですよ。
こちらは脚本を読んだだけで感動していますから、この素晴らしい宮藤さんの世界を観客の皆さんにも伝えたい。そのためにはどういう映像にすればいいのかと、いい意味でプレッシャーがありました」
―――宮藤さんは完成した映画をご覧になったそうですが、どのような感想でしたか?
「キャストやスタッフが見る試写だと、感触がいい作品のときは、映画が終わっても、みんな話が止まらなくなって帰らないんです。この映画のときもみんな残って話をしていましたし、宮藤さんもずっといましたから、良かったのではないでしょうか(笑)」