恋人を亡くした構成作家の青年が、人に寄り添う「グリーフケア」と出会い、喪失から再生していく姿を描いた映画『君の忘れ方』が1月17日（金）より全国公開される。今回は、主人公・昴の婚約者を演じた西野七瀬さんへのインタビューをお届け。現場でのエピソードから役者業にかける思いまで、語っていただいた。（取材・文：山田剛志）

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「歩くのってこんなに難しかったっけ？」
坂東龍汰との初共演を振り返る

―――本作で西野さんは、坂東龍汰さん演じる主人公・昴の婚約者である美紀を演じられました。美紀は序盤で亡くなりますが、昴にしか見えない幻影として随所で画面に姿を現します。演じる上で気をつけたポイントはありますか？

「幻影は、基本的に感情を持たない存在なので、何も考えずに“ただその場にいる”ことを意識しました。あとは一つひとつの動作を遅くすることを心がけました。自分ではかなりゆっくり動いたつもりでも、映像を見返すと意外と速かったりするんです」

―――現場のモニターでチェックをしながらお芝居を調整されたのですね。

「そうですね。ゆっくり歩くっていうのが結構難しくて。普段どおりの歩き方だと、生きているように見えてしまうんです。また、スピードにも気を付けつつ、目線を水平に保って歩くのにも苦労して。『歩くのってこんなに難しかったっけ？』と思わされました」

―――坂東龍汰さんとは初共演とのことですね。どんな俳優さんだと思いましたか？

「坂東さんは、表情とか身のこなしがデフォルメされておらず、ずっと自然体。カメラの前でも『普通でいる』ことのできる素敵な役者さんだと思いました。今回は、掛け合いをするというよりは、昴が幻影としての美紀に一方的に語り掛けるというシチュエーションだったので、次はぜひ人間同士で（笑）、共演する機会があれば嬉しく思います」