「自由に演じさせていただきました」
現場ごとに変わるスタイルに合わせる

西野七瀬
写真:武馬怜子

―――先ほど西野さんがおっしゃったように、幻影となった美紀は感情を表出させることはありませんが、ふとした動作に気持ちが表れる瞬間があります。ネタバレに配慮して詳細は書けませんが、終盤、美紀は昴のお腹に手を当てるアクションをしますね。

「その動きは脚本には書かれてなくて、現場で決まったんです。このシーンはリハーサルもなく、漠然とした位置関係だけ決めて、ほとんどぶっつけ本番。ヒリヒリするような緊張感がありました」

―――この場面はワンカットの持続が長く、じっくり撮られていましたね。

「2台のカメラで撮ってくださったのですが、演者とカメラの間に距離があって。私と坂東さんだけの空間を作ってくださったおかげで、より一層お芝居に集中することができました」

―――西野さんは「好きに動いてください」という自由度の高い現場と、細かい動きまで厳密に指定される現場とでは、どちらが性に合っていると思いますか?

「どっちが合っているんだろう?(笑)今回の映画はセリフもなく、自由に演じさせていただきました。一方、昨年出演させていただいた劇団☆新感線の舞台(『バサラオ』)は、歩数から振り返るタイミングまで厳密に決まっていて、それも楽しく演じられました。なので、欲張りですが、自由に演じられるようにもなりたいし、細かい演出にも応えられるようにもなりたいです(笑)」

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