「いい意味で裏切っていきたい」
俳優・坂東龍汰の一貫した魅力

―――昴は感情移入を促すというよりかは、シーンを重ねるたびに、観客が彼の新しい一面を発見していく、そんな主人公だと思いました。画面を観ていると「あ、昴はここで笑うんだ」といった驚きが常にある。先ほども言いましたが、それは坂東龍汰という役者の一貫した魅力だと思っています。

「そう言ってもらえるのはすごく嬉しいです。やっぱり『ありきたりな演技はしたくない』っていう気持ちは強いです。どの作品の脚本にも面白さがあって、演じ手である僕はそれを良い意味で裏切っていかないとと思っています。」

―――一方で、演じ手のエゴが強調されると、良いお芝居とは正反対のものになってしまいますよね。

「その点、今回の映画では、僕が提案したところもあれば、監督がその場でセリフやアクションを変えていった部分もあって、チームみんなで昴というキャラクターを作り上げることができたと思います」

―――今回、坂東さんは初めて映画作品で単独主演を飾られたわけですが、現場に臨む心持ちはいつもと異なりましたか？

「僕、性格的に背負ってしまう部分があって、お話をいただいた時は、座長として引っ張っていかなければいけないという気負いがあったんです。イン前に監督とプロデューサーと食事をする機会があって、そこで『周りのことは気にせず、昴の主観を大切にすればいい。プロのスタッフがそれを撮っていくから』と言ってもらえて。『主演はこうあるべき』という凝り固まった考えが解きほぐされたんです。それからあまり余計なことは考えなくなりました」

―――坂東さんの性格を的確に捉えたアドバイスによって心が軽くなったのですね。

「そうなんです。でも一方で、『主観を大切に』と言われても、実践するのは簡単ではなくて。というのも、僕は今まで主役の友人役とか、主演の方を支える立場で作品に携わる機会が多かったので、その場合、自分の役のことだけ考えて立ち回ることは難しいんです。

今回、初めて主役を任せていただいて、いかに主演俳優が、沢山の人に支えられているのか、改めて実感しました。スタッフさんはもちろん、共演者の皆さんもそうです。特に岡田義徳さんは沢山相談に乗ってくれました。先輩の頼もしい背中を見て、自分が主演を支える立場になった時、同じように振舞いたいと思いました。それは主演を務めさせていただいたからこそ気付けたこと。本当に学びのある現場でした」

―――今後のご活躍も期待しています。ありがとうございました。

（取材・文：山田剛志）

ヘアメイク　後藤泰（OLTA）
スタイリスト　李靖華
ニット ¥26,000/
ショーツ ¥47,300/
共にAMOMENTO
シューズ
forme 参考商品
その他スタイリスト私物

【関連記事】
【写真】坂東龍汰インタビューカット一覧
「楽な道よりも厳しい道を選んだ方が面白い」映画『君の忘れ方』西野七瀬が語る、役者業にかける思いとは？
「映画館に革命が起きるのではないか」映画『若武者』二ノ宮隆太郎監督＆主演・坂東龍汰スペシャル対談。異色の青春映画を語る

【了】