映画オリジナルのギャグシーン
本作は原作小説と比べて、遥かに明るく笑える作品になっている。ここで、映画化用にクドカンが足したと思われる、原作にはないギャグシーンのごく一部を抜き出してみよう。
①カツラギャグ
漁師の章男(中村雅俊)の運転する船の上で、東京から来たカップルが釣りを楽しんでいるオープニングシーン。釣りエサの虫をキモがる彼女と、やけにかっこつけながら釣りを楽しむ彼氏。そんな彼氏の髪がカツラだったというオチでシーンが終わることから、「このくらいの笑いを織り交ぜながらいきますんで!」という作り手の宣言のようなものを感じた。
②オンライン会議あるある
コロナ禍当時の「オンライン会議のあるあるコント」が随所に見られた。極めつけは、晋作が東京の同僚とオンライン飲み会を楽しんでいるときに、サプライズで社長(小日向文世)が出席するシーン。「これは長話を延々と聞かされる羽目になる」と予想した同僚たちが、社長の話に健気に相槌を打つ晋作を尻目に、「失礼しまーす」と次々に退室していくシーンは劇場でも笑いが起こっていた。