クドカンが描いてきた「コロナ」と「地元」
世の中には「コロナウイルスがある世界線のフィクション」と「ない世界線のフィクション」があるが、コロナ禍以降のクドカンドラマは徹底して「コロナウイルスがある世界線」の物語を描き続けている。
コロナ禍入りたての夏には、巣篭もり配信者(生田斗真)一人芝居風密室ドラマ『JOKER〜2022パニック配信!』(2020)をNHKでいち早く作り、半年後にスタートした『俺の家の話』でも、登場人物たちにマスクを着用させていた。
そんなコロナ禍を考えるときに切っても切り離せないものが「地元」だ。帰りたいけど帰れない、家族に会いたいけどウイルスを広めたくない。そんな当時、誰もがした葛藤や感じていた恐怖が、この『サンセット・サンライズ』にも散りばめられていた。
その代表的な例が、東京からやってきたばかりに晋作に対する百香の態度だろう。ソーシャルディスタンスを守り、触れるもの全てにアルコール消毒。そんなゾンビ映画の世界にも似たコロナ禍特有のスリルを、百香の警戒心剥き出しの立ち振る舞いから思い出したし、そんな状態からスタートしたからこそ、後半の2人の関係性の変化にグッときたのだろう。