「自分らしさを消して演じました」映画『悪鬼のウイルス』初映画主演・村重杏奈がTV出演をセーブして挑んだ本作への思いを語る

text by 斎藤香

二宮敦人原作、松野友喜人監督による映画『悪鬼のウイルス』が1月24日(金)より公開中だ。今回は主演を務める村重杏奈さんにインタビューを敢行。映画初主演となり、セリフの覚え方がわからなかったと語る村重さんに、撮影の裏側、本作への思い、バラエティとお芝居の二刀流で活動する中で生まれた葛藤などについてお聞きした。(取材・文/斎藤香)

バラエティーの売れっ子が映画出演を決めるまで

写真:武馬怜子
写真:武馬怜子

―――本作は村重さんにとって初主演映画ですね。バラエティーのイメージが強いのですが、映画主演のお話が来たときのこと、依頼を引き受けた決め手について教えてください。

「『悪鬼のウイルス』のお話をいただいたときは、バラエティー番組に出演し始めて1年くらい。出演本数ランキングにも入るようになって、とにかくバラエティー番組にいっぱい出たかったんです。でも映画撮影の10日間くらいはバラエティーに出演できないかもしれないと言われ“その10日間で何本のバラエティーに出演できるんだろう、『チャンスを逃してしまうかも…』と葛藤がありました。

でもマネージャーさんたちは『すごく大きな経験になる』と。芸能界はバラエティーだけで成り立っているのではないから、いろんな芸能の世界を知っておいた方がいいと言われまして、じゃあ頑張ってみようと出演を決めました」

―――ホラー系は得意ですか?

「怖いのは苦手なんですけど、なぜかバラエティー番組で心霊ロケに行く仕事が多いんです。村重が行くと心霊現象が起こり撮れ高があるらしいんですよ。本作も『撮れ高が最高』という謎の自信だけを心の支えにして撮影に行きました」

―――脚本を読んで役を解釈し、セリフを覚えるということもあまり経験がなかったそうですね。

「とても不安でした。まず台本の読み方、セリフの覚え方がわからない。よく俳優さんが『役を自分に落とし込んで』とお話しされているけど『落とすって何?』と思ったりしていました。本当に基礎の基礎からスタートしなくてはならなかったのに、相談できる人もいなかったので途方に暮れていました」

―――そこからどうやってセリフを覚えて芝居に繋げて行ったのでしょうか?

「台本をいただいてから、2、3日後に本作の読み合わせがあったので台本を覚えなくちゃと思い、セリフを録音するなど、工夫しながら準備することで不安を消していきました」

―――村重さんが茅野日名子について。どのような女性と解釈して演じましたか?

「日名子は私と真逆なんです。育ちのいいお嬢様で可愛い人。正直、私が会ったことのないタイプの女の子なので、想像するのが難しくて。私はお嬢様じゃないし、上品なタイプでもないので、恐怖を感じる中でも、品性を保たなくてはいけないのは大変でした。

また恐ろしい渦中にいても、日名子は思いを寄せている内川智樹(太田将熙)の心をつなぎ止めておきたくて、積極的になったりもするんです。日名子の心が揺れるので『どうしたらいんだろう』と、ちょっとパニックでした。そもそも私は『好きな人には当たって砕けろ!』というタイプなので、恋愛の仕方も全然違うんですよ。日名子がよくわからなくて、ちゃんとできるかなと本当に怖かったです」

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