娯楽性と不気味さの融合

若葉竜也 写真:武馬怜子
若葉竜也 写真:武馬怜子

―――若葉さんは、この映画でいちばん印象に残っているのはなんでしょう?

若葉「この村の異質さとか全体に漂う不気味さは、この村だけの問題でなく、現代社会の居心地の悪さとか、同調圧力とか、そういうことを内包していると思いました」

―――映画を撮影しているときに作品の方向性について、監督と話したりしませんでしたか?

若葉「撮影前に脚本についてじっくり話しました。実在しない村が舞台だからと言って現実からかけ離れた、違う時空の話になってしまったら嫌だなと思ったんです。だから、セリフに電子タバコとあったらアイコスに変えたり、現実にあるものを使って自分の生きている世界線に物語を引き寄せたいという話をしました。抽象的な部分を城定さんと話し合いながら具体化していった感じですね」

―――それによって脚本はだいぶ変わりましたか?

若葉「大幅変更は無いです。もちろん、撮影現場でもシーンごとに話をして調整を重ねていきましたし、こうしよう、ああしようという意見の交換は結構していたと思います。そうやって作っていった作品なので、どういう作品になるのか想像を巡らせていました。僕はもっとニッチな作品になると思っていたけれど、いい意味でかなり娯楽性の高い作品に仕上がっていました」

―――深川さんは完成した映画を観てどう思いましたか?

深川「村人たちは不気味に描かれていますが、城定さんは『村人と夫婦、どちらかを100%悪に見せる描き方はしたくない』と撮影前から話していて。その言葉がラストにちゃんと繋がっていたし、母親の強さ、女性の強さも感じ取れて素敵だなと思いました」

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