スローライフに憧れて田舎に来た夫婦の加害性

若葉竜也 写真:武馬怜子
若葉竜也 写真:武馬怜子

―――田口トモロヲさんが演じる田久保さんは、自治会長として村を仕切っていますが、人当たりの良さが徐々に変化して狂気的になっていく様など、村人たちがだんだん怖くなっていきますが、実際に撮影で対峙していていかがでしたか?

深川「私は撮影しているときも、完成した映画を観たときも、村人を演じた皆さんのインパクトがすごいと思いました。田口トモロヲさんとのシーンでは、脚本を読んで想像した自分の引き出しには全くない表現をされていて圧倒されました。

普段は穏やかでやさしい方なのに、田久保さんになったときの迫力がすごくて。だからトモロヲさんと一緒にシーンでは、『次は何をされるんだろう』と、杏奈とおなじく緊張してしまいました」

若葉「トモロヲさんはパンクだから(笑)」

深川「杏奈の赤ちゃんのシーンは一部お人形を使ったのですが、公民館の和室にその赤ちゃん人形がポツンと置かれていたんです。周りには休憩中の大人たちが賑やかに話していて。その対比を見たトモロヲさんはポツリと『世の無情ですね』とつぶやいて。そのワードセンスが抜群で大好きです(笑)」

若葉「僕は田久保さんよりも、この夫婦の方に加害性を感じているんです。被害者のように振る舞っているけど、自分たちが村にズカズカ入って来てやっていることはどうなんだと。彼らの無自覚の加害性が怖かったです。村の人たちがルールの中で協力しあって暮らしている中、実はこの夫婦が壊してしまったこともあるんじゃないかと思いました」

―――最後に本作を楽しみにしている映画ファンにメッセージを。

深川「ビジュアルから受けるホラー映画のような作品ではなく、 “人間の怖さ“を描いた作品なので共感するところもあると思います」

若葉「見どころとか言うのは嫌いなんで、観ていただいて好きなシーンをみつけてもらえれば嬉しいです」

(取材・文/斎藤 香)

【作品情報】

『嗤う蟲』
2025年1月24日(金)より公開中
監督:城定秀夫 脚本:内藤瑛亮 城定秀夫 音楽:ゲイリー芦屋
出演:深川麻衣 若葉竜也 松浦祐也 片岡礼子 中山功太 / 杉田かおる 田口トモロヲ
配給:ショウゲート  Ⓒ2024映画「嗤う蟲」製作委員会    
公式サイト

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【了】

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