初めて歌う民謡シーンの準備と挑戦

―――小泉監督は黒澤明監督のもとで助監督をされ、撮影所時代のスタイルを知っている方ですが、その現場に参加されて、その点でも新鮮だったのではないでしょうか。本作の現場で得られたものはありましたか？

「準備の時間がとても長かった分、資料を見て本作について勉強したりなど、役に対するアプローチや、どのように役作りを進めていけばいいのか、じっくりと学べたような気がします」

―――小泉堯史監督の作品へ、初めて参加されましたが、小泉監督の演出についてどのように感じましたか？ 本作で三木さんは、民謡に挑戦されていますが、生きていくということに対して、彼女が決心したということが歌声に宿っていたと思います。このシーンの準備も非常に大変だったのではないでしょうか。

「ミュージカルの経験はありましたが、民謡を歌うのは初めてだったので、YouTubeで色んな民謡を聴いたりして準備をしました。あと、監督が、実際に歌っている方の歌声を録音して送ってくださり、それも参考にさせていただきました」

―――民謡は、発声からリズムの取り方まで馴染みのないものだったと思いますが、小泉監督からイメージを共有してくださったんですね。

「そうですね。最初に監督のイメージを共有していただけたので、それを基に練習ができました。でも元々、歌うことが好きなので、本作で歌のシーンがあると初めて聞いたとき、嬉しかったのを覚えています。現場では、小泉監督から細かい演出をつけていただきつつ、基本的には『自由に思うままにやって』という方針だったので、のびのびと演じられました」