ずっとギスギス展開なのに…今季最注目のアニメ『Ave Mujica』に惹きつけられる人続出のワケ。考察&感想レビュー

text by 望月悠木

ブシロードが手がけるメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』(以下、バンドリと表記)の最新アニメ『BanG Dream! Ave Mujica』がすさまじい。今回は、従来のバンドリ作品にはない本作独自の魅力を語りたい。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題、サブカルチャーに関する記事の執筆を手がけています。今知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けています。(旧Twitter):@mochizukiyuuki

ずっとギスギス展開なのに…。
『Ave Mujica』の世界に誘われる人が続出

『BanG Dream!』公式Instagramより
『BanG Dream!』公式Instagramより

 現在放送中のTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』(以下、『Ave Mujica』と表記)は、2023年6月から全13話放送された『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』(以下、『MyGO!!!!!』と表記)の続編にあたる作品。『MyGO!!!!!』で登場したガールズバンド・Ave Mujica(アヴェムジカ)をメインに据えた物語である。

 これまでいくつものガールズバンドを輩出し、メンバーの葛藤や友情を描いてきたバンドリ。しかし、『Ave Mujica』はこれまでのバンドリとは毛色が違う。はっきり言って様子がおかしい。

 まず、『Ave Mujica』が多くの視聴者の心を掴んでいる要因として“メンバー間の不和”が挙げられる。バンド内で衝突が起きるシリアス展開は、過去のバンドリ作品でも幾度かあった。しかし、バンドリの基本路線は“ゆるふわ”で、バンド毎に差異はあれど関係性は良好。シリアスはあくまでも物語を引き立たせるスパイスとして機能していた。

 しかし前作『MyGO!!!!!』から、その流れは大きく変わった。『MyGO!!!!!』では、豊川祥子(高尾奏音)によって結成され、また彼女自身によって無理やり解散となったバンド・CRYCHIC(クライシック)の復活を果たすため、元メンバーの長崎そよ(小日向美香)が千早愛音(立石凛)、要楽奈(青木陽菜)を利用するなど、ギスギスかつドロドロしたストーリーが繰り広げられたのだ。

 こうした“ドロドロ”路線は本作『Ave Mujica』で、より濃密になっている。現在5話まで放送されているが、毎話何かしらのギスギスが発生している。とはいえ、ただいたずらに不穏な空気が垂れ流されているわけではない。

 このギスギスする場面では毎回、Ave Mujicaのメンバーそれぞれの境遇が見え隠れしており、視聴者は登場人物に思いを馳せずにはいられなくなる。この“仕掛け”がハマっているため、『Ave Mujica』の世界に誘われる人が続出しているのだろう。

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