「ちゃんと伝える」ことの大切さ
―――阿吽の呼吸が通用しない、というのは、日本と韓国の文化的な違いもありそうですね。
「そうですね。韓国の方は、どちらかというと、感情をはっきり言葉で伝えるという印象があります。ただ、チャンソンさん自身、とても真摯に作品に向き合って、意見もバンバンぶつけてくれたので、とても助かりました」
―――ちなみに本作では、チャンソンさんに加えてもう1人、韓国出身の脚本家イ・ナウォンさんが参加されていますね。
「はい。イさんは、私が監督を務めた『全裸監督』(Netflix、2019)でアシスタントを務めてくれたんですが、チャンソンさん同様、彼女もとても芯がしっかりしていて、はっきり物を言われるんです。
原作は、『幸福の黄色いハンカチ』(1977)の高倉健さんみたいに、良城と月菜の阿吽の呼吸で成り立っている作品なので、海外の方の目から本作を見るとどうなるのかを期待してイさんにお願いしました」
―――イさんが加わったことで変化はありましたか。
「かなり変わりましたね。個人的な印象では、原作であやふやだった2人の感情が、言葉を通してよりクリアになったと思います」