映画『ファーストキス 1ST KISS』評価&考察レビュー。観客の心を掴んだ坂元裕二の”言葉の力”とは?【ネタバレ】
text by 小林久乃
『花束みたいな恋をした』(2021)の坂元裕二が、塚原あゆ子監督との初タッグを組んだ映画『ファーストキス 1ST KISS』が公開中だ。妻がタイムスリップして若き日の夫ともう一度恋をするラブストーリー。今回は、作品の魅力を掘り下げるレビューをお届け。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら
パートナーとの向き合い方を考えさせられる
パートナーの存在とは常に人を悩ますポジションにある。ひとりがいい、でも寂しい。結婚しなくちゃ、してみたらうまくいかない、いつの間にか相手が“無”になる。やっぱりパートナーなんていなくても良かった。いなかったら私の人生、どうなっていた? このループが脳内をひたすら回遊しているのが、パートナーとの向き合い方だと思う。現在、私は未婚、単身の身だけど楽しい。でも楽しさと寂しさがニコイチという理論は本当で時折、不安に襲われる。
「もし、今家の中で転倒して、頭を強打して死んだらいつ発見されるのか」
「将来、だんだんできないこと(家事etc)が増えていくのにどうしたら」
とか。こんな妄想がどこか慣性じみてきていたりして。そんな同士がもしいたら、今すぐに観てほしい映画が『ファーストキス 1ST KISS』だ。