傷だらけの恋の顛末

　青春と呼ぶには、少々、刺激が強すぎる彼らの赫い春は、現代から見るとあまりにも支離滅裂で荒々しく映るかもしれない。共感できない瞬間はいくつもあるだろう。踏みにじることでしか愛を伝えられない不器用な人間模様は、やがて火花を散らしながら若き日の青春とともに燃え尽きていく。焼け跡に残ったのは、彼らが日々をともに過ごした甘く苦い思い出と、中也が残した美しい言葉たちだ。

　映画では、小さな火種が暗がりを照らし、周囲を温めるはずだった炎が勢いを増して激しく燃え盛りながら、触れたものを黒ずみになるまで焦がしていく一連の情景を描いている。

　断片的にしか知らなかった文豪たちの生き様と価値観、そして言葉にできない複雑な関係の一端に触れることができる作品になっている。3人が織りなす傷だらけの恋の顛末を、ぜひ劇場で確かめてほしい。

（文・ばやし）

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