準備と現場の雰囲気に合わせて演技を組み立てる

山口馬木也
山口馬木也 写真:武馬怜子

―――先程、ご自身が演じられた役に対して“変わった刑事”とおっしゃっていましたが、役を演じる上で大切にされたことはありますか?

「彼の中の“正義”は、より濃く出たら面白くなるのではと思っていたので、何気ない仕草に意識を置いていました。誰かと絡む時や、ご飯を食べている時、この人なりの気の使い方など、セリフ外で出したいと考えていました。言葉は乱暴で嫌われる性格ですが、反対に、人間らしさがあって温かみのあるキャラクターだと思ったんです」

―――何気ない仕草を大切にすることは、普段からご自身の役へのアプローチの一環として取り組まれていることなのでしょうか?

「正直、後でどういう準備をしたかと聞かれてもわからないんです。私の場合、出たとこ勝負な部分が多い気がします。もちろん、『このシーンを作るためには、こういう心の材料や準備が必要だな』ということは意識しています。でも、相手の演技や雰囲気に合せることも重要なので、家で準備をしても、いざ現場に入ってみると、あまり深く考えずに行動することが多いです」

―――出たとこ勝負という部分では、不安要素もあるのでしょうか?

「いつも緊張しています。初めて会う相手と、どんな面持ちで言葉を交わすべきなのか、正解がないですから。家で何度台本を読んでも、本番の雰囲気とは全く違ってしまうんです。毎回、撮影の中で、セリフ一行の言葉を発したいという気持ちが出るのかどうか不安でいっぱいです。お芝居は本当に相手がいてこそだと感じます」

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