俳優としての深い探求心と心の葛藤
―――山口さんは、2024年に公開された映画『侍タイムスリッパ―』で、第48回日本アカデミー賞で優秀作品賞、優秀主演男優賞含め、7部門を受賞されました。2026年には大河ドラマの出演も控えていますが、デビューされてから現在に至るまで、こういった未来は想像されていましたか?
「あるわけないでしょ! でも、私の中にはずっと『役者になりたいから役者をやっている』というシンプルな思いがあります。だからその思いに向かってずっと近づこうとしてる。その繰り返しの中で演じ続けている感覚なんです」
―――般的には遅めの年齢、25歳に俳優としてデビューされてから、今日まで俳優を続けられた要因はどこにあるのでしょうか?
「周りの人たちは、私が苦労してきたと思っているようですが、実はそんなに苦労してないんです。みんなと同じように、毎日笑ったり、美味しいもの食べたり、友達と過ごしたり…。その延長でこの仕事を続けてきただけです。振り返れば25年の役者人生になって、『今までの苦労が報われましたね』と言われることもありますが、実際にはそんなに大変な経験をしてきたという実感はないです」
―――あくまで好きなことをやり続けた結果が今に繋がっているのでしょうか。
「でも、すごく好きなことでもないですよ。だって仕事だから(笑)。寝ることや、食べること、家族と過ごす時間の方が好きですから。それ以上に役者という仕事に使命や宿命を持って、続けてらっしゃるっていう人も僕は何人か知っていますけど、私はそういうタイプではないんです。それに困っている自分もいるのかな(笑)。だから気張らずにやってこれたのかもしれないです。でも、そんな自分が賞を獲って評価されて、『求められているものってなんだろう』と考えてしまうこともあります」
―――山口さんが立ち止まってしまっても俳優を続けられているのは、やはり演じるということに楽しさを感じているからなのでしょうか?
「どんなに役になりきっても、俳優は自分の存在を消すことはできません。だからシーンを演じるときに、役として悲しいのか、自分として悲しいのか、わからないことの方が多いんです。それでも一瞬、振り切れたように役に没頭したときに感じる忘れられない感覚があるんです。だからこそ、100%役の目線で演技ができる、俳優としての可能性を求め続けています」
(取材・文:shuya)
【作品概要】
2025年3月27日(木)夜11時より無料放送(全8話)
放送チャンネル:ABEMA SPECIAL チャンネル
■キャスト
成宮寛貴、瀧本美織、細田善彦、久間田琳加、片桐仁、松井玲奈、田中美久、しゅはまはるみ、粟大和、袴田吉彦・山口馬木也、筒井真理子 他
■スタッフ
製作:藤田晋
原作:天樹征丸/漫画:草壁エリザ/「死ぬほど愛して」(光文社 刊)
企画・監修:樹林伸/樹林ゆう子
プロデューサー:小林宙/金山宇宙/柴原祐ー
脚本:ねじめ彩木/髙橋幹子/吉﨑崇二
音楽:海田庄吾
主題歌:.ENDRECHERI./堂本剛「super special love」Sony Music Labels Inc.
監督・脚本:城定秀夫
制作プロダクション:ダブ
製作著作:ABEMA
公式サイト
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