映画『山田くんとLv999の恋をする』評価＆解説レビュー。作間龍斗＆山下美月の演技に胸キュン…原作ファン納得の理由とは？

作間龍斗と山下美月がW主演を務める映画『山田くんとLv999の恋をする』が現在公開中だ。原作漫画はシリーズ累計600万部超（※紙・電子合計）を誇り、期待値が高い本作。今回は、W主演を務めた作間龍斗、山下美月の演技に注目しながら、本作の魅力を紐解いていく。（文・小松加奈）【あらすじ キャスト解説 考察 評価】 ーーーーーーーーーーー 【著者プロフィール：小松加奈】 ライター／編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー／レビュー／コラム記事などを手掛ける。フジロックは初年度から参加。プロ野球好き。ジャンルを問わず、心を動かすもの／ことに夢中。 作間龍斗＆山下美月演じる山田＆茜が魅力的！ ©ましろ／COMISMA INC. ©2025『山田くんとLv999の恋をする』製作委員会 彼氏に誘われてネトゲ（オンラインゲーム）で始めるもフラれてしまった大学生・茜（山下美月）。ゲームで失恋のうっ憤を晴らしていると、同じギルド（オンラインゲーム内で組まれたグループのこと）のメンバー・山田と遭遇。ゲーム内で超塩対応の山田に苦手意識があったが、後日、ゲームの1周年を記念したリアルイベントで転んでしまった際に、山田（作間龍斗）に助けられ...。なんと山田は、茜の元彼も知る有名な高校生プロゲーマーで、元彼に再会した茜はレアアイテムの引換券をあげる代わりに、山田に彼氏のふりをしてほしいと頼み込んだのだった。 ゲームでも人間味のあふれるAkane（茜）、必要以上のリアクションをしない能面アフロの山田。リアルでの初対面時に互いを認識するのに時間がかからなかったが、ゲームのキャラクターとリアルで見せる内面がさほど変わらない2人。初対面時にもありのままの自分を見せられる茜の素直さ、そんな茜に振り回されながらも茜につきあい、ふとした優しさも持ち合わせた山田のギャップが魅力。 塩対応だが、山田のうっかり人を好きにさせるような無自覚な優しさに抗えない茜。“恋に興味ゼロ”なのに“とにかくモテまくる”難攻不落の強敵＝山田もまた、人を気遣えるコミュニケーション能力の高い茜と会うたびに、彼女の良さを知っていく。そんな2人が自然体のまま、だんだんと互いに惹かれていく過程が実に穏やかで微笑ましく、観る者をホッコリとさせてくれる。 一見真逆の2人のようだが、裏表がなく、面倒見のいい部分が似ていて、彼らの周りに常に人がいるというところにも2人の人間的な魅力が感じられる。心の声がストレートな山田の一言が観る人をクスっとさせたり、茜の頑張り屋なところや人思いの部分に心が温められたり...そうした山田と茜の人となりを、作間と山下が見事に体現。原作を知る人も笑顔にさせてくれるだろう。 【次ページ】個性的なキャラクターたちに注目 クセ強なキャラクターたちが愛らしい！ ©ましろ／COMISMA INC. ©2025『山田くんとLv999の恋をする』製作委員会 劇的な出会い方をした山田と茜だったが、再会したのはギルドのオフ会。物語は、そんなギルドの仲間たちとのゲーム内外での交遊とともに描かれる。 山田と茜以外のギルドメンバーは、瑠璃姫の“中の人”を務める瑛太（NOA）、ロリータファッションに身を包んだ彼の妹の瑠奈（月島琉衣）、サブマスターでいちご農家を営む鴨田（鈴木もぐら／空気階段）。瑠璃姫を女性だと思い、自分の恋愛話までしていた茜は、男性である瑛太が“中の人”だと知り仰天。鴨田もゲーム内では小さな種族のキャラクタを操るなど、そのギャップが楽しい。 TBSドラマ『君の花になる』（2022）の劇中グループ・8LOOMでも不思議キャラで存在感を示したNOAが、包容力のある優しい瑛太を柔らかな雰囲気で演じている。気遣いのできる人当たりのいいおじさんだが、その正体は謎めいた部分がある鴨田。そんな鴨田の本来の姿を、空気階段の鈴木もぐらが次々に見せていく。そんなシーンの傍らに相方・水川かたまりも出演していて、映画の見どころの1つとなっていることも特筆したい。 そして、瑠璃姫のモデルとなっている、キャラクターも強烈な美少女・瑠奈を、ドラマ『からかい上手の高木さん』（TBS系、2024）でヒロインの高木さんを演じた月島琉衣が演じた人付き合いが苦手な瑠奈は茜の参入が気に入らず、茜をギルドから追い出そうとする。だが、茜のまっすぐな想いに触れて仲良くなり、茜に懐くように。わがままな一面もあるが、素直さも併せ持った瑠奈。茜との関係性の変化を経て、彼女本来の天使のようなスマイルが増えていき、観る人を大いに魅了した。 そして、茜の悩みを受け止めつつ応援する、痛快でパンチのある茜の親友・桃子を、ジャズピアニスト、シンガーソングライター、ファッショニスタ、そして俳優と多才な活動をみせる甲田まひるが好演。密かに山田に想いを寄せ、のちにギルドメンバーとなる山田の同級生・椿を茅島みずきが清々しく演じ、大きなインパクトを残している。 【次ページ】観る人の心を温める、やさしい世界観 それぞれの心に寄り添う“やさしい”世界観 ©ましろ／COMISMA INC. ©2025『山田くんとLv999の恋をする』製作委員会 本作では、原作漫画から受け継いだ“やさしさ”というテーマを大切しているという。彼氏に理不尽にフラれた茜、ギルドに知らない人が入ってきて疎外感を覚える瑠奈、山田に選んでもらえなかった椿…そんな心の傷にそれぞれのキャラクターが真摯に寄り添い、彼女たちに前向きな心の変化をもたらしていた。 瑛太や鴨田が見守る姿や、山田の不器用ながらも仲間を放っておかない行動、相手を思い明るく人に接する茜のキャラクターには、心の痛みも癒してくれるような“やさしさ”があふれていた。 ラブコメ的な胸キュン展開も魅力ながら、そんな世界観が観ている人の心を温めてくれることだろう。 （文・小松加奈） 【次ページ】映画『山田くんとLv999の恋をする』予告編 【最初から読む】 映画『山田くんとLv999の恋をする』評価＆解説レビュー。原作ファン納得の理由とは？ 【関連記事】 【写真】作間龍斗×山下美月に胸キュンが止まらない…貴重な未公開カットはこちら。映画『山田くんとLv999の恋をする』劇中カット一覧 「同じ空気を吸っているのが信じられない」映画『山田くんとLv999の恋をする』鈴木もぐらが撮影の裏側を語る。インタビュー HiHiJets・作間龍斗の才能爆発…唯一無の魅力とは？ 水曜ドラマ『コタツがない家』徹底考察＆解説【推しmovies】 【了】

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