「信頼してお芝居ができました」ドラマ『HEART ATTACK』W主演・寛一郎、三浦透子、対談インタビュー。初共演を振り返る

text by 山田剛志

フジテレビと『ウォーキング・デッド』を手がけた米・スカイバウンドが共同制作したSFドラマ『HEART ATTACK』が3月20日(木・祝)よりFODにて独占配信中だ。今回はW主演を務めた、ウミン役の寛一郎さん、エマ役の三浦透子さんにインタビューを敢行。撮影の裏話を伺った。(取材・文:山田剛志)

三浦透子「苦しみを味わっていて、それが強さにも繋がっている」それぞれのキャラクターについて

三浦透子 写真:武馬怜子
三浦透子 写真:武馬怜子

―――映画『ブレードランナー』(1982)や『スワロウテイル』(1996)を想起させつつ、今までに観たことのない世界観が描かれていると思いました。本作はアメリカのグラフィックノベルが原作となっています。最初に本作の脚本を読まれた時の感想を教えてください。

三浦透子(以下、三浦)「オファーをいただいた時、アメリカンコミックスの実写化と聞いて、どんな作品になるのか想像しにくかったんです。でも、脚本を読ませていただいたところ、現代社会に生きている私から見ても感情移入できる、あるいは身近に感じられるような物語、およびキャラクター設定になっていると思いました」

寛一郎「僕も、SFと聞いて浮世離れした話なのかなと思いきや、脚本を読ませていただくと、現在を生きている人にも訴求する、普遍性のある内容だと思いました。その上、細部にまでオリジナリティが詰め込まれている。とはいえ、僕自身、本格的なSF作品に出演するのはほぼ初めてということもあって、『(現場は)どうなるんだろう?』と、正直、脚本の時点では想像がつかなかったですね」

―――本作に登場する“ヴァリアント”という設定が興味深いところは、ある日突然能力に目覚めることで、マジョリティからマイノリティになり、差別される立場に転じるという点です。決定的な変化を経験したキャラクターを演じるにあたり、それぞれ役をどのように把握し、お芝居に落とし込む作業をなさいましたか?

寛一郎「僕は割と幼少時から、何か一つのきっかけで、目の前の人の態度が急に変わる瞬間を目にする機会が少なくなかったんです。周囲の人が未知の理由でガラッと変わる。子供からしたら不条理そのものですよね。その点、ウミンがある日突然差別を受ける悲しさや怒りや虚無感には共感できるところがありました」

三浦「エマを取り巻く環境は過酷ではありますが、彼女のファッションや、“L”の部屋のデザインは、心の充実度も感じさせます。“奈落“という閉ざされた場所、限られた物資の中でも、エマは好きなものを集めて、幸せを探しています。それは、彼女たちなりの精一杯の生き方なのですが、それゆえに、何の不自由もなく生きられているようにも見えかねないと思って、そこは懸念点でした。

演じる私としては、撮影は“奈落“のシーンだけで、対極の場所である“浮世”(の撮影現場)を見に行く機会がないので、『エマたちがいるのは外界から隔絶した場所なんだ』という気持ちをちゃんと持って演じなければということは強く意識しました。エマも含めて“L”のメンバーは根っこにポジティブさを持った子たちですが、一方で、彼女たちにはシリアスな過去があるわけです。一度しっかり苦しみを味わっていて、それが強さにも繋がっている。そこはちゃんと表現したいなと思いました」

寛一郎「エマもそうですけど、物心ついてから“奈落”に行った人と、“奈落”で生まれ育った人って多分違うんですよ。陽毬(阿部久令亜)とかは後者ですよね。後者にとっては“浮世”を知らないことがポジティブに働くこともあるし、前者は“浮世”を知っている分、“奈落”にいる辛さが際立つということもある。“L”のメンバーの中でもグラデーションがあるので、細かく見ていくと色んな発見があると思います」

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