寛一郎「世界に浸ることができました」
ロケーションが持つ力

寛一郎 写真:武馬怜子
寛一郎 写真:武馬怜子

―――今回、VFXをふんだんに使った作品になっていて、完成した画のイメージが想像しづらい中での撮影だったかと思います。丸山健志監督とは現場でどのようなコミュニケーションをとって、撮影を進められましたか?

三浦「監督は撮影の段階から明確にイメージ持ってくださっていました。演じていて(どのような画になっているのか)想像で補いきれない部分は、訊いたら全部答えてくださって。『この場所の先はこうなっていて、編集ではこう繋ぎます』といったことを都度共有してくださったので、本当にありがたかったです。信頼してお芝居ができました」

寛一郎「現代の監督だなと思ったのが、iPadに全シーンの色彩設計図が入っているんです。このシーンはこの色とこの色の照明を使ってみたい、といったことが書いてあるんです。シーンについて質問をさせていただいた時に、それを参照してイメージを伝えてくれて。凄いなと思いました」

三浦「作品の温度感や熱量といった、言語化しづらいものをイメージで伝えてくれるだけでも違ってくる気がするんですよね。特に今回、世界観を一からしっかり作り込む必要のある作品なので。もちろん作品によっては事前にイメージを固めないほうがいい方向に転がるケースもあると思うんですけど、今回に関しては、監督が確固たるビジョンを持ってくださっていたのが、とてもありがたかったです」

―――VFXを駆使したシーンもさることながら、実際のロケーションの特性を活かしたシーンも見応えがありました。“L”のアジトとなる雑居ビルは雰囲気があり、香港映画を思わせるロケーションでしたね。

寛一郎「あのシーンは沖縄ですね」

三浦「沖縄で撮ったシーンは室内もロケもどちらもですけど、土地のムードが画面に宿っている感じがありますよね」

寛一郎「沖縄のロケーションが持つパワーに美術さん、装飾さん、照明さんの力が加わって、僕らはその世界に浸ることができました。沖縄のロケーションには日常と切り離された雰囲気があるとは思ってはいたのですけど、完成した作品を見て、まさかあそこまで別世界になっていると思っていなかったので、驚きました」

―――このドラマでは随所でとてもいい風が吹いていますよね。第3話では風が吹きすさぶ中、夕日に照らされたエマとウミンがキスをするシーンが美しかったです。

三浦「(寛一郎さんに)綺麗に撮ってもらったね(笑)」

寛一郎「3話目のキスシーンは、元々正面から撮るはずだったんですけど、光の都合で背中側から撮影したんです。そうしたら太陽の光がエマの顔を照らして、奥に日が見える美しいショットが撮れて。それなのに現場で監督は「あの映像は使わない」って言ったんです。「なんでですか?」って言ったら「綺麗すぎる」って(笑)。「綺麗すぎて使わない」とか言ってたのに、観たらやっぱり使ってました(笑)」

―――現場では良いショットが撮れたがゆえの照れがあったのかもしれませんね(笑)。

寛一郎「でもすごく美しかったですよね」

三浦「今回、結構いろんなところで撮ってるんですよ。沖縄から北は福島まで。にもかかわらず、同じ世界観に収まっているのに、私はすごく感動しましたね。ロケーションはバラバラなのに、ちゃんと魂が繋がっているように感じられたのは、監督をはじめとしたスタッフの皆さんのお陰だと思います」

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