夫婦愛に心がほだされる
ハートウォーミングな物語でただひとつだけ引っかかったのが、保のプロフィールである。
昭和11年生まれで戦時、戦後を知り、現在を生きている。西畑さんは今も夜間中学に関する講演会を行なっているそうだ。そんな身近な人物が幼少期に食べることもままならず、生きていくだけで精一杯だったという過去を持つことが少しショックだった。
戦後80年という節目を迎える2025年。改めて戦争、貧困、不平等といった問題について考えたいと作品に気付かされた。
夫婦愛に泣いて、笑って、考えて。そんな『35年目のラブレター』であなたが見えてくるものとは、一体何だろう?
(文・小林久乃)