「自分の物語の書き方としては、そこに嘘はつけない」
イベント参加者からの質疑応答へと移ると、会場のあちこちから映画の内容に深く関わる質問が飛び交う。
「死んでしまった3人の世界と、現実の世界が交わらないまま終わったことには何か理由があったのか?」という最初の質問に対して、坂元は「自分自身がとても現実的な人間なので、幽霊やUFOを見たことがない。自分の物語の書き方としては、そこに嘘はつけないので。自分のなかでは(死者の世界と現実の世界が)交わるのは嘘だと思っている」と率直な思いを吐露した。
しかし、「犬が死んでもう5年くらい経つけど、床にお菓子とかを置けない。それはやっぱり、実際に目には見えないけど、犬といっしょに生きているからだと思うんです。ただ、こういう物語を作りながらも、どこかであの世界が疑わしいと思う気持ちも持っている」と語り、白黒がはっきりついていない場所に立っているからこそ、嘘はつけない自身のスタンスを貫いたことを打ち明けた。