髙石あかりが魅せる演技とアクションのバランス
ふみかは、親友にDVするホスト崩れの男を手始めに、成り行きでダメ男たちを粛清していくが、そのおかげで殺し屋組織と関わるようになり、闇の争いに巻き込まれていくことになる。
設定としては、マンガやアニメなどでよくある「憑依モノ」の一種なのだが、霊の見え方や一体化のシステム、殺人能力を発露する方法など、この作品ならではのルールを最初にしっかり説明する必要がある。
阪元裕吾の脚本はただでさえセリフ量が多めな傾向があるが、本作ではその状況説明や憑依の成り行き、そこでふみかに沸き起こる感情やツッコミを片っ端から言葉にしていくので、なかなかの騒がしさ。
なによりも、このカオスな状況に説得力をもたせるために必要なのが高石あかりの演技力だ。クズ男に憤り、幽霊に驚き、憑依されて体を乗っ取られ、2つの人格を次々とスイッチしながら状況説明してアクションもこなすという、大変な難役。どれもやりすぎるとコメディになってしまうし、サラっと自然に見せても盛り上がらないので、絶妙なサジ加減が求められる。