疾風怒濤のアクションと心温まる結末
クライマックスは怒涛のバトルアクション。憑依して一体化しているときは、見た目がふみか・工藤のどちらでもアリという、映画ならではのマジックが違和感なく発動、ラストバトルは三元雅芸VS川本直宏という、日本を代表するアクションアクターによる最高峰の戦いが実現する。
園山健介とアクションチームが、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズを経て辿り着いたのは、いわば超速度で展開するCQCバトル。リズムが不規則で、しかもハイスピードなので、緊張感が持続し、まったく展開が読めない。あらゆるモノが凶器となり、常に急所を狙って効率よく相手を制することを目的にした、とことんリアルで殺気に満ちた肉弾戦だ。
これは園村が実写映画のアクションコーディネイトだけでなく、ゲームのモーションキャプチャーやCGアニメの振り付けを数多く経験したうえで築き上げたものだと思われる。アクション映画の格闘スタイルとしては極めてオリジナルで、その速さと衝撃を最大限に活かす流麗なカメラワークも特筆ものだ。
「殺し屋の霊が女子大生に憑依」という少し不思議な設定に、疾風怒濤のアクション描写をぶっかけまくって、最後になぜかホッコリさせるという、まさに日本でしか作れない「Jアクション」作品として仕上がった本作。世界にワンパンいれてくれること確実だが、各国の映画スタジオが最も驚くのは、そのバジェットと制作日数かもしれない。世界を周り、大ヒットを果たした折には、その儲けを注ぎ込んで、さらにスケールアップした作品をお願いしたい。
(文・灸 怜太)
【作品情報】
髙石あかり
黒羽麻璃央
井上想良 東野絢香 川本直弘 アベラヒデノブ 倉冨なおと 木部 哲 一ノ瀬竜
本宮泰風 山口祥行 舘 昌美 北代高士 中澤達也 本田広登 川﨑健太
三元雅芸
監督・アクション監督:園村健介
脚本:阪元裕吾 音楽:森野宣彦
共同制作:Well Go USA Entertainment
製作:人見剛史 才津博明 和田佳恵
エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介
プロデューサー:角田陸 菅谷英一
制作プロデューサー:伊藤良一
撮影:伊集守忠
照明:大町昌路
録音:飴田秀彦
美術・装飾:寺尾淳
スタイリスト:森内陽子
ヘアメイク:くつみ綾音
助監督:星秀樹
ラインプロデューサー:高瀬博行
アクションコーディネーター:川本直弘
ガンエフェクト・CG:遊佐和寿
編集:園村健介 恒川岳彦
アソシエイトプロデューサー:藤山晃太郎
プロデューサー:Doris Pfardrescher
制作プロダクション:MinyMixCreati部
配給・宣伝:ライツキューブ
配給協力:ティ・ジョイ