劇場版最新作『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』評価&考察レビュー。コナンブームの仕掛け人が解説する魅力は?

text by 諏訪道彦

『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』が現在大ヒット公開中だ。本作は、毛利小五郎と長野県警の隻眼の警部・大和敢助がキーパーソンとなり、長野の雪山を舞台に巻き起こる過去と現在の事件を描いている。今回は、本作のレビューをお届けする。(文・諏訪道彦)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:諏訪道彦】

1959年愛知県生まれ。「シティーハンター」「名探偵コナン」「犬夜叉」など企画・プロデュース。劇場版「名探偵コナン」シリーズは23作目「紺青の拳(フィスト)」まで企画・プロデュース。2023年10月「株式会社アスハPP」設立。現在は引き続き新作アニメーションの企画プロデュース業を行う。現在大阪芸術大学芸術計画学科教授。

劇場版「名探偵コナン」シリーズのヒットの秘訣はキャラクターの強さと緻密さ

映画『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』
©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 原作者・青山剛昌先生が連載をスタートさせたのが1994年1月。TVアニメスタートが1996年1月。そして劇場版第1作『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』が公開されたのが1997年4月。

 原作第1話の展開の面白さと奇想天外な設定に惚れ込んでTVシリーズを企画した者として、今のコナンの勢いは嬉しいし本当にものすごいと思います。大ヒットの秘密とか秘訣とかよく聞かれますが、それはなんと言っても青山先生が送り出す、コナンワールドのキャラクターの強さと緻密さでしょう。

 アニメスタッフとしては原作にあるエピソードはもちろん、アニメオリジナルストーリーにおいても、いかに青山先生を驚かせるか感心させるかに重点を置いて制作していました。おそらくアニメチームは今でもそんな心構えで取り組んでいると思います。そして特に劇場版は毎回青山先生も制作に大きく協力されています。今回の劇場版もメインキャラクターは青山先生の手のひらの上で縦横無尽に動いています。そこにコナンワールドを独自の視点で切り開いてきた脚本・櫻井武晴さんの、オリジナリティあふれる分厚い登場人物たちが入り乱れて強いドラマとなっています。

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