劇場版「あるある」の特殊なタイトル表記の理由とは?

諏訪道彦 写真:武馬怜子
諏訪道彦 写真:武馬怜子

―――劇場版『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』(2008)ぐらいから、必ずゲスト声優の方がいらっしゃると思います。これには何か理由があったのですか?

「アニメの映画の宣伝ってね、切り口が少ないんですよ。主題歌かゲスト声優に話題が絞られる。だから、主題歌以外に切り口をつけようっていうことです。ゲスト声優を誰が担当するか、ということだけでなく、出た方々がコナンの話を広げることを望んでいました。なので、有名な方なら誰でもいいわけではなくて、コナンを好きであるということが希望でした」

―――劇場版「あるある」というと、タイトルの読みの特殊さもありますよね。

「例えば、劇場版第9作は『名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)』(2005)。『陰謀』って、まっとうな英語だと『プロット』なんですよね。プロットって、我々も散々使っているわけです。『今度のプロットどうしよう』のように。ただ『水平線上の陰謀(プロット)』だと趣旨に合わない気がして、ストラテジー strategy(直訳すると「戦略」あるいは「戦法」)という英語を当てはめました。

なんといっても、第11作は『名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)』(2007)。棺で『ジョリー・ロジャー』ですよ。これはやりすぎでしょう、と思ったんですけど、青山先生は『それがいいんじゃない?』って。棺(ひつぎ)と読ませるかどうかの問題よりは、『ジョリー・ロジャーって何? 昔の海賊の?』って、そっちの方に作品のイメージを膨らませてもらった方がいいんじゃないっていう青山先生の流石のお考えで。こうなっていることで、『あれ、ちょっと観たいね』とも思ってもらえる」

―――ファンのなかには、「次は何を出してくるのか」と楽しみにしている人もいますよね。

「SNSでサブタイ予想が盛り上がってますもんね。そこまでいったら有り難いことだよね」

―――26作目『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(2023)でシリーズ初の興行収入100億円を突破したわけですが、この要因は何だと思われますか?

「それはもちろん黒ずくめの組織にさわったことと、灰原哀がどうなるという触れ込みですかね、これは強かったんだと思いますよ」

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