河合優実演じる桜田との会話でキャラクターを立ち上げていった
―――萩原さんが演じた小西徹役、黒崎さんが演じた山根役、それぞれ難しい役だと思いますが、役はどのように作っていきましたか?
萩原「僕はいつも役作りをする上では、キャラクターがブレないように軸を作りたいと考えているんです。でも小西役は事前に軸を作るのがすごく難しい役でした。
河合優実さんが演じる桜田とのシーンが多かったのですが、彼女との会話や行動を通して、小西の心が変化し、キャラクターがどんどん立ち上がっていく感覚がありました。だからこそ、撮影現場では桜田の言葉を受けて、その場で役を作り上げていく方がいいと思ったんです。
ただ、現場で即興的に役を作るのはこれまで経験したことがなく、正直すごく怖かったです。いろいろと考えながら、試行錯誤して作り上げていきました」
黒崎「山根は、まず格好がすごいじゃないですか。髪型もクルクルパーマのような髪型で。あれは毎回、ヘアメイクさんに巻いてもらっていたんです。加えて、喋り方も独特で個性的な男なので『山根はきっと何かを隠しているんだろうな』と思いました。髪型も服装も、彼なりに本当の自分を隠すためにいろいろと装備しているのだろうと。ただ明るい役では面白くないので、大九監督にも相談をして、話し方も含めて山根のスタイルを決めていきました」
―――小西と山根は、お互いにどんな存在だったと思いますか?
黒崎「山根は大分出身で、大学進学とともに大阪に出てきた男です。地元に彼女がいるから孤独というのとは違うのですが、新しい土地で唯一、頼れる存在が小西だったのだと思います」
萩原「山根は小西にとって唯一無二の存在です。小西は山根がいて本当に良かったと思います。小西は大学に馴染めなくて孤独だと思っているけれど、山根がいるから孤独じゃないんですよ。後半、山根との間にもシリアスなシーンがありますが、山根はずっと寄り添ってくれたし、本当に感謝すべき友人だと思います。桜田さんとは別のベクトルで必要な人だし、特別な存在です」