「スピード感だけじゃなくて、豪快さ」
作風の原点
ーーロボコの声優を務めているのは、お笑いコンビ・チョコレートプラネットの松尾駿さんですが、アニメを制作する上で、芸人さんのギャグを取り入れたり、参考にすることはありますか?
「ありますね。僕は昭和の芸人の方が馴染み深いので、Wけんじとか、牧伸二とか、獅子てんや・瀬戸わんやとか、あとは落語ですね。幼少期の頃から、テレビを付ければ入ってくるものだったし、笑えるのが1番いいなと僕は思ってます。元々、赤塚不二夫先生の『おそ松くん』が好きでこの世界に入ったし、赤塚さんもそういうところからネタを拾って、世間で流行っているフレーズをギャグにしたりしてたけど、やっぱり染み込んでるんですよね」
ーー時代劇がお好きということで、近衛十四郎さんの大ファンとのことですが、どんなところが好きですか?
「近衛さん語ると長いですよ(笑)。時代劇好きということで通ってるんですけど、実は時代劇にそんなに詳しくなくて、チャンバラが好きなんですよ。チャンバラが上手な方っていっぱいいるんですけど、やっぱり近衛さんは一番痺れますね。推しですよ(笑)。他の人には到達できないものがあって、スピード感だけじゃなくて、豪快なんですよね。相当研究されたと思いますよ。表情も含めて最高ですね」
ーー大地さんの作品には、近衛十四郎さんの殺陣の切れ味や鋭さに通ずるものを感じます。
「リズム感みたいなものは一番気にしますね。尺入れの時に違和感がある時は、思い切ってギャグを切ったりして、リズムを大事にします」
ーー“リズム”というところで言うと、音楽もお好きなんでしょうか?
「『こどものおもちゃ』(1996〜1998)の頃によく取材で『音楽好きなんですよね』って言われたんですけど、知識はかなり乏しいんですよ。ただリズムを出すのに音楽ってすごく大事だと思っているので、そこの感覚だけは持っていると思います」
ーーちなみにどんな音楽がお好きですか?
「昭和歌謡ですね。昭和の頃の方がグッと来るものが多いんですよ。あとは歌い手の情念を感じるので、演歌が好きです。やっぱりトップは北島三郎さんですね。『おじゃる丸』の主題歌も歌っていただきました」