加那の成長を体現したリアルな演技
ーーー伽耶は、一度介護から逃げ出しますが、翌日、おばあちゃんのもとに戻ります。目が合った瞬間、おばあちゃんがニコっと笑うのに対して加那は、ほんの少し驚いた表情をしますよね。あのとき加那はなぜあのような表情をしたのか。演じる上で意識したことがあれば教えてください。
「介護を放棄してしまったことに対する罪悪感のようなものは、加那の中にすごく強くあったと思っています。『介護はやめる!』と一度決めた後なので、もしかしたら気持ちに踏ん切りがついた部分があったのかもしれません。
おばあちゃんが認知症であることを、どこかで信じたくない、信じられない…そんな気持ちが加那の中にはあると思いますが、現実を受け入れ、『楽しく2人で過ごしていくほうがいい』という気持ちに変わっていったのだと思います。
おばあちゃんが認知症でなければ、『あんた昨日何してんのよ』と怒られることですし、加那も『おばあちゃんに嫌な思いをさせてしまった』と、罪悪感を抱いたと思います。だからこそ、あんな喧嘩をして、ひどい態度をとってしまった自分に対して、おばあちゃんが笑顔を向けてくれたのは、認知症であるからだと分かってはいるものの、加那にとっては驚きであり、中途半端な自分自身を少し許せた瞬間だったのではないかと思います」
(取材・文:タナカシカ)
【作品情報】
中尾有伽 研ナオコ
中川ゆかり 西堀文 嶋佐和也(ニューヨーク)
髙木直子 赤間麻里子 磯西真喜
監督/脚本 岡﨑育之介
企画:岡﨑育之介 音楽:永太一郎
共同プロデューサー:神原健太朗 ムラタマリエ
ラインプロデューサー:赤間俊秀
監督補:佃直樹 助監督/美術:中村光寿 撮影:江成隼 照明:西野
正浩 録音:岩﨑敢志 庄野廉太朗
スタイリスト:川邉舞 ヘアメイク:幸田啓 カラリスト:井上海 編集:岡﨑育之介
制作プロダクション:役式 ©役式 配給:NAKACHIKA PICTURES 2023年|115分|カラー|DCP
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【了】