映画愛が詰まったオマージュの宝庫

  

映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』
©ギンビス ©劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

 そもそもの「たべっ子どうぶつ」たちの“大人気アーティストグループ”という設定が、イルミネーションの大ヒットアニメ『SING』(2016)を彷彿させる以外にも、本作には様々な映画へのオマージュが散りばめられている。

 特にそれが出ているのが、たべっ子どうぶつたちがキングゴットンの塔に突入するクライマックスだ。

 塔を目掛けてバイクを走らせるわにくんとひよこちゃん。立木文彦が声優を務めるわにくんの「全ては私のシナリオ通りだわに」というエヴァオマージュセリフがあったと思えば、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)顔負けの、ポリンキーたちによって作られたジャンプ台を駆け抜けて宙を舞うバイクアクション。

 全身緑色のわにくんが『ウィキッド ふたりの魔女』(2025)フィナーレのエルファバのごとく下へと真っ逆さま。そして、とあるキャラクターが重力から解き放たれ、大空に羽ばたき始める。

 さらには、どうぶつたちが持ち前のモフモフパワーで敵を翻弄していく様子を配信で見ていた、スイーツランドの市民たちが、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』(2001)の終盤のように徐々にたべっ子どうぶつたちを応援し始める。

 そして、お菓子映画の金字塔『チャーリーとチョコレート工場』(2005)のウィリー・ウォンカのような“父親とのお菓子をめぐる確執”が語られたと思えば、特撮ヒーローモノのお決まり展開のように敵の怨念が集まって巨大化していく。キッズ向け映画でありながら、「うわ! あの作品みたいで上がる!」という親世代が思わず微笑んでしまう描写もふんだんに入った作品となっている。

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