一見すると完璧な「女神」、だけど隙があるのも魅力的

©映画「女神降臨」製作委員会
©映画「女神降臨」製作委員会

 自信はまだまだないが、なりたい自分になろうとメイクレッスンの授業料を稼ぐためにバイトに励み、最下位から数える方が早い成績も上げるために勉強も頑張る麗奈。メイクに悩む友達にはアドバイスしてあげ、自分と同じようにコンプレックスを抱える子にはメイクで魔法をかけてあげる。

 努力家で思いやりがあるところはメイクに出会う前から麗奈が持っている魅力だ。そこに人が集まってくる。つまるところ、内面の美しさを重視した内容になっており、SNSの普及によってルッキズムが深刻化する今だからこそ見てほしい作品だ。

 何よりKōki,演じる麗奈が本当に愛らしい。筆者はKōki,の出演作を初めて観たが、こんなにも魅力的なお芝居をする女性なのかと驚かされた。麗奈がメイクで大変身を遂げた姿はオーラに満ち溢れていて、一見すると完璧な「女神」に思える。けれど、良い意味で隙があるのは、Kōki,が表情豊かな演技で麗奈の心情を見せてくれるから。

 ホラーが大好きでオタク気質なところもリアルに表現しており、親しみが持てる。なおかつ、キラキラした面だけではなく、いじめを受けたことによる麗奈の心の傷や、メイクで変身しても拭えない自信のなさも、しっかり伝わってくる繊細さも持ち合わせたKōkiの多面的な演技に引き込まれること間違いなしだ。

『女神降臨 After プロポーズ編』では麗奈が大学に進学し、メイクアップアーティストになるという夢に向かって動き出す。その中でコンプレックスを乗り越えていく彼女の成長物語をぜひとも見届けてほしい。

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