「初めて役と自分の気持ちがリンクした」
役を落とし込むことについて

星乃あんな 写真:武馬玲子
星乃あんな 写真:武馬玲子

ーーーハルは、自分のチャームポイントであるホクロをウララの顔に描き、2人は入れ替わってハルの父が経営するカフェへと向かいます。父親と対峙するシーンでは、お2人とも自然と感情が溢れていて素晴らしかったです。

星乃「テストでは全然できなくて、監督に何回も指導していただきましたが、それでもできなくて悔しくて…。でも本番では、私自身の悔しさとハルの思いがリンクして自然と涙が出ました。カフェのシーンでは、緊張感や、焦り、悔しさなど、常に感情が動いてる感覚があって、今回はちゃんと役とリンクしたから本当に泣けたと思いますし、感情を乗せることができたので『やりきった!』と思えました」

河村「これから凄いシーンを撮ると思ったらドキドキしたし、それがお父さんに会うドキドキと重なって、本当に気まずくて、緊張したし、焦る気持ちが生まれました。これまでは、お芝居している自分を客観的に見てしまっていたのですが、今回初めて役と自分の気持ちがリンクしました」

ーーーその後2人が喧嘩するシーンがありましたが、ここでもリアルな感情がちゃんと流れた上でお芝居をされている印象でした。撮影現場はいかがでしたか?

河村「リハーサルも沢山やったんですけど、本番ではウララがハルを追いかけて手を掴むところで息切れ感が足りないと監督から言われ、50メートルくらい離れた所から走って、でもそこでハルの手を取り損ねたら、『はい、もう1回』って…(笑)。何回も繰り返したことで、最終的には本気で取り乱して怒ることができました」

星乃「ずっと走っているし、運動音痴だから2,3回走っただけでもゼェゼェしてるのに、『できなかった! もう1回!』ってまた繰り返されるので、ずっとが切れてて(笑)。でも息切れし過ぎていても感情を表せないし、一番大事なシーンだったので、2人で『監督にはここから走るように言われたけど、もっと遠いところから行こう』と相談して、バランスを調整しながら何度もやらせてもらいました」

ーーー外山文治監督の演出はいかがでしたか?

河村「監督が目指しているのは“自然体”で、セリフ通りではダメなんです。でも言わなきゃいけないセリフはあるし、語尾を変えるということでもないし、自分が普段話すような口調で喋る、というのを考えるのが難しかったです」

星乃「“自然体”が逆に難しかったです。カメラが回っていると、ハルとして存在しようと意識してしまうし、『普段どうやっているんだっけ? いつもどうやって喋っているっけ?』って。監督からは『台本を読んで、キーになるセリフを見つけて、それが言えればいいよ』と言われ、そこからキーとなるセリフに自然な流れで話を持っていけるように、みんなで相談しながら作っていくことのが本当に難しかったです」

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