実話を映像化する“意義”

映画『父と僕の終わらない歌』
©2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会

―――特に病気に関する実話をもとにした物語を映像化することで、事実だけでなく、それとの関わり方から受け取るものがあると、今回の作品を観て改めて実感したのですが、監督は実話を実写映像化する意義をどのように考えていますか?

「まず1点目としては、みんなに知ってほしいけれども知られていない状態のものが、映画という観やすい形に置き換えて伝えていくことに意義があると思っています。そのうえで、実際に起きた出来事のポイントを抽出し、物語として脚色していくことで、我々は何を学び、受け取り、今後どうしていくかということを強調する。これによって、さらに色んな人に伝わっていくはずだと思っています。実話をそのまま描くならば、ドキュメンタリーでもいいわけなので。僕らフィクションの作り手としては、そのポイントをより見やすく提示して、お客さんに受け取っていただきたいですね」

―――なるほど。そんなお話の後で伺うのは蛇足だとは思うのですが、ことこの作品で特に伝わってほしいメッセージについても教えてください。

「最終的にはご覧になった方が受け取ったものが正解だとは思うんですけど、僕がこのお話の中で1番描きたかったのは『人の本心のわからなさ』。今回の映画では、お父さんが息子をどう思っていたのか、アルツハイマー型認知症によってもはや答えが出ない状態になってしまうわけですが、何もこの物語だけが特別なわけじゃなくて。たとえ健康だとしても、他人の本心を伺い知ることはやっぱりできないんですよね。だからこそ、わからないと認めた上でじゃあどうする?みたいなところまで描きたいと思って、ああいったエンディングにしたんだと思います」

―――それを咀嚼したうえで、改めて映画を観たくなりました。貴重なお話をありがとうございました!

【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

【作品概要】

『父と僕の終わらない歌』
大ヒット上映中!

■出演者:寺尾 聰  松坂桃李
佐藤栞里 副島 淳 大島美幸(森三中) 齋藤飛鳥 / ディーン・フジオカ
三宅裕司 石倉三郎 / 佐藤浩市(友情出演) / 松坂慶子
■原案:『父と僕の終わらない歌』サイモン・マクダーモット著  浅倉卓弥 訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)
■監督:小泉徳宏
■脚本:三嶋龍朗 小泉徳宏  ■音楽:横山 克
■撮影時期:2024年3月~4月(クランクアップ済)
■製作幹事:日活 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 
■制作プロダクション:ROBOT ■制作協力:EPISCOPE
■配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
■公開日:2025年5月23日(金)全国公開
■コピーライト:©2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会
公式HP
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公式YouTube
ソニー・ピクチャーズ公式X

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【了】

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