熱き講師・日高(大泉洋)
幼い頃から絵が得意で、周りから持て囃されてきた宮崎の高校生・明子(永野芽郁)。将来は漫画家になることを夢見ていたが、友達に紹介されて見学に訪れた絵画教室で講師の日高(大泉洋)にデッサンを酷評される。
鼻をへし折られた明子はその日から美大合格に向け、日高の指導を受けることに。だが、そこは一風変わった教室だった。子供からお年寄りまで絵を描きたい人が集まっていて、月謝はたったの5千円。ただし竹刀を片手にした日高に暴言を浴びせられながら、ひたすら絵を描かされ、逆らおうものならアイアンクローをお見舞いされる。
他にも未成年の生徒にお酒を飲まそうとしたり、手足が長い生徒を“チンパン子”呼ばわりしたり、日高の言動は今の時代なら即アウトになるようなものばかり。でも、「お腹が痛い」という嘘をついて逃げようとした明子をおんぶしてバス停まで送り届けてくれるようなピュアで温かい一面があって、「こういう先生いたなぁ」と懐かしく思う人もいるのではないだろうか。
そんな日高のおかげで明子は見事金沢の美大に合格する。だが、明子の夢はあくまでも漫画家であり、画家ではない。
せっかく苦労して入った大学で、設備も整っているのに、明子は遊ぶのに夢中であれだけ描いていた絵を描かなくなってしまう。大学生あるあるだ。
「二個展やるぞ」という日高との約束もついぞ実現しなかった。ああ、胸が痛い。特に痛かったのは、日高が金沢に遊びに来るシーンだ。
本人たっての希望で自分の大学に日高を案内することになった明子。だが、腕が落ちた絵を叱責され、つい日高を邪険に扱ってしまった明子は、置き土産の焼酎のボトルを見て激しい後悔に襲われる。日高は明子や美大の学生たちと焼酎を飲みながら絵について語り合いたかったのだ。