「3年ぶりに再会した役に自分を重ねた」映画『きさらぎ駅 Re:』主演・本田望結が続編に込めた思いを語る。インタビュー
「2ちゃんねる」発の都市伝説をもとに映画化したホラー映画の続編『きさらぎ駅 Re:』が公開中。本作は、実在しない駅に迷い込み、3年前に生還した宮崎明日香を主人公に描く物語。今回は、本作で主演を務めた本田望結さんにインタビューを敢行。共演者との再会で感じた絆や、本作への思いについて語ってもらった。(取材・文:ZAKKY)
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主演として味わった達成感
ーーーまず、今作の脚本を読んだ時の、率直な感想をお聞きしたいです。
「続編なのでスムーズに入り込めました。現場のイメージもすぐ浮かびましたし。実は脚本自体は、私が受け取った段階でもかなり変更が重ねられていました」
ーーーいつ頃から続編の話が立ち上がったのでしょうか?
「前作で、物語が一区切りついていたので、まさか私が主演で続編が作られるなんて、思ってもいませんでした」
ーーー興味深い流れですね。
「でも、前作は『もし続編があったら…』と考察できる終わり方だったので、続いたらいいなとは思っていました。ただ、前作のラストは、私が演じた明日香が異世界から元の世界に戻って終わるので、仮に続編があっても、私は参加できないだろうなと思っていたんです。『なぜ明日香が主役に?』という驚きの方が大きかったです」
ーーー個人的にモブキャラが、続編で主役になる作品、好きです。
「その面白さは、演じていてすごく感じました。1度絆を深めた仲間たちと、寂しさを抱えてお別れした後、また集まる時の熱量は本当にすごくて…。しかも自分が主役だなんて。そういう意味でも、特別なご縁だなと感じました。
前作の主演を務めた恒松祐里さん演じる堤春奈も、今作では重要な役として登場していて、現場の雰囲気も前作と変わらず、恒松さんを中心に進んでいました。だから私は、主演というプレッシャーを一切感じず、自然体で演じることができました」
前作の主演・恒松祐里の支え
ーーー撮影時に特に印象に残ったエピソードはありますか?
「今回、私1人のシーンが多かったこともあって、その時の心細さや不安な感情がうまくお芝居に反映されていた気がします。一方で、恒松祐里さんとの共演シーンはすごく楽しくて心強かったです。現場の雰囲気を作ってくれた恒松さんには、とても助けられました」
ーーーゾクっとするシーンも、やはり健在でしたね。
「ホラーならではのお芝居は、永江二朗監督に教えてもらいました。特に印象的だったのは、『不自然な間が必要』だということ。リアルに演じてしまうと、観客が驚くタイミングを逃してしまうので、あえて“間”をつくるんです。その感覚をしっかり復習して現場に臨みました」
ーーー異世界という設定で、現実では起こらないことを演じる時はどうでしたか?
「現場で実際に起こったことに反応するのではなく、『今こうなっている』と理解した上でお芝居をする必要があるんですね。でも、監督がしっかり言葉で説明してくれるので、やりやすかったです」
ーーー本作では、どんな部分に気を配りながら演じられましたか?
「前作以上に、ただホラー要素を演じるだけでなく、セリフの一言一言で誰かを傷つけてしまわないか、あるいは誰かの心に響くのではないか…そんなことをすごく考えながら現場に立っていました。でも、それはきっと私だけじゃなく、他のキャストの皆さんも同じ気持ちだったと思います。続編というプレッシャーもありましたが、だからこそ、より一層丁寧に向き合えた気がします」
キャラクターの“変化”に込めたメッセージ
ーーー完成した作品を観た際は、どのように感じましたか?
「撮影を終えた当初は、『もう少し前作の“明日香らしさ”がを残してもよかったのかな』と感じる部分がありました。でも一方で、『人間って、こんなにも環境によって変わってしまうんだ』というメッセージを残せたかな、とも思えて。明日香が過ごした“空白の時間”と現実世界に戻ってからの時間の重みをどう表現するか、本当に悩みましたが、結果的にはその変化も含めて良い形に落とし込めたのではないかと思います」
ーーー前作から3年が経ちますが、本作ではキャラクターにかなり変化を付けられましたね。
「配信などで1作目を観た後、今作を観たら『明日香、すごく変わってる!』って驚かれる方も多いと思います(笑)。でも、その変化自体が、明日香が背負ってきた悲しみや重圧を示すものとして、あれくらい大きく変わっていてもいいんじゃないかと思っています」
ーーー監督からはその変化について、何か指示はあったのでしょうか?
「監督とも相談はしましたが、脚本を読んだ段階から私の中にあったのは、『明日香をどれだけ成長させるか』というテーマでした。ただ、私自身も明日香と同じようにこの3年間を過ごしてきたので、必要以上に役作りしすぎるよりも、自然と滲み出る成長が伝わった方が良いと考えていました」
ーーーこの3年間で、ご自身が最も成長したと感じる部分はどこでしょうか?
「20歳を迎えたこともあり、人生の節目をたくさん感じる3年間だったので、自然と内面も成長したと思います。見た目も変わりましたし、あえて強調しなくても“明日香の成長”は映像に出るだろうと感じていました」
ーーー望結さん自身が、1番「ここは変わったな」と思える部分は?
「想像力はこの3年間で確実に高くなったと思います。色んな人と出会う機会が増えたことで、『こう言ったら相手はどう感じるだろう』という意識が、以前より強く、深くなりました。もともとそういうことは考えるタイプではあったのですが、今は考え方のパターンが増えて、より物事を捉えられるようになった気がします」
17歳から20歳へ、節目に感じた変化
ーーー前作からのキャストやスタッフと再会された時の感覚は、いかがでしたか?
「まさに『帰ってきた』という感じでした。脚本から『きさらぎ駅』の世界観がすでに完成されていたので、現場に入った初日からスムーズに気持ちを持っていくことができました。すぐにその空気に戻れるというのは、この作品ならではだと思いました」
ーーー休憩時間などで印象的だったエピソードはありますか?
「懐かしい話をしている時が1番盛り上がったと思います。ロケ先や宿泊先で『ここでこんなことあったよね』『あの時はこうだったね』って話していると、より『帰ってきたんだな』という実感が湧きました。私も、この3年間を経てきましたが、キャストやスタッフの皆さんも同じように、それぞれの時間を通過し、成長してまた集まった…。その“奇跡”のような再開に浸る瞬間には、グッとこみ上げてくるものがありました」
ーーー17歳から20歳までの3年間は、人生の中でも特に大きな変化がある時期だと思います。
「そうなんです。スタッフの皆さんはあまり変わっていないように見えたんですが、自分だけが子供から大人になった感覚がすごくありました。また、自分では自分の変化に気付けないですが、『見た目も年齢も変わっているんだな』と改めて感じました」
ーーーとても大切な節目の作品になったんですね。
「間違いなくそうだと思います。本作の撮影中は、自分の成長もすごく感じられた時間になりました。17歳の時に1作目をやったからこそ、今回、『ここがあの時と違う』、『成長できているかも』と気付けたところもありました」
ーーーもしさらに続編が作られるとしたら、参加したい気持ちはありますか?
「もちろんです! ……と言いたいんですが、ちょっと怖い気持ちもあります(笑)。というのも、今回明日香の成長物語として、しっかり終わっているので、ファンの方々がどう思うか、不安でもあります」
ーーーファンの皆さんも、今回の明日香の変化と成長をきっと受け止めてくれると思います。
「今回の撮影を通して、自分自身も明日香と一緒に大きく成長できたと思っているので、皆さんにもそれが伝わったら嬉しいです」
ヘアメイク:山田佳苗
スタイリスト:稲葉江梨
(取材・文/ZAKKY)
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