映画『キャンドルスティック』マルチレビュー。4人の評者が忖度なしでガチ採点&評価
公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビューがスタート! 記念すべき第1回は、日本と台湾の共同制作による阿部寛主演作『キャンドルスティック』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)
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骨太な物語は評価、だが人物造形に課題あり
中川真知子(映画×テクノロジーライター)
【採点評価】2・5点
AIを騙す、というよりは日本がいかに搾取されているのかを描いた作品。その視点で見るなら悪くはない。また半導体競争、株価操作、AIの脆弱性など本作で断片的に語られた背景を理解していれば重厚感ある物語だと感じられた。だが…
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巧みな視覚表現が光る金融サスペンス
村松健太郎(映画ライター)
【採点評価】3点
上映時間が93分というタイトな作りで一気に見せ切る金融サスペンス作品。主演の阿部寛、ヒロインの菜々緒、津田健次郎などを中心にキャストは決して多くないが、要所要所を効果的に固めてきた感がある。ディスプレイ上での数字の展開が物語のメインになるのでどうしても地味な映画になりがちだが…
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「AIを騙す」発想は面白い。キャラと演出はあと一歩
近藤仁美(クイズ作家)
【採点評価】2・5点
AIを騙すという発想は面白く、FXという素材も現代ならでは。ただし、各登場人物の行動の理由が薄味で、筋は追えるが感情移入は難しい。特に気になったのは…
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光る社会的視点と弱い主人公像のギャップ
山田剛志(映画チャンネル編集長)
【採点評価】1点
商品紹介ページによると、原作は「FXを通して幸せを掴む、読者体験型サクセス・ストーリー」らしいが、著者がエグゼクティブプロデューサーを務めるこの映画では、FXのセミナーに通う杏子(菜々緒)も、彼女をサポートする野原(阿部寛)も、なぜFXに拘泥するのか、最後までよくわからない。両者ともに自由を希求しているらしいことは随所で説明されるが…
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【著者プロフィール 中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。
【著者プロフィール 村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。
【著者プロフィール 近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。
【了】