映画『木の上の軍隊』マルチレビュー。4人の評者が忖度なしでガチ採点&評価

公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビュー。今回は、堤真一×山田裕貴共演の映画『木の上の軍隊』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)

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美しさの裏に刻まれる戦争の悲劇

中川真知子(映画×テクノロジーライター)

【採点評価】3点

 エンタメとしての盛り上がりは少ないかもしれない。戦時中の悲惨さを表現するには画面が綺麗すぎるだろう。だが、同作は精一杯、大和魂を描こうとしている。この時代を生きる私たちに…
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舞台劇の臨場感と映画ならではの表現に瞠目

村松健太郎(映画ライター)

【採点評価】4点

 井上ひさし原案の同題舞台の映像化。これまで舞台では山西惇と藤原竜也や松下洸平などの組合せで演じられてきたが映画ではこの堤真一と山田裕貴という並びに。二人ともシリアスもコメディもこなせる俳優なので…
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笑いの裏に潜む切なさ

近藤仁美(クイズ作家)

【採点評価】4点

 心にずしんとくる良作。コミカルな場面が多数あり、登場人物とともに笑って楽しめるのだが、それゆえかえって、戦争が当時の人々の生活にどのような影響を与えたか、生々しく感じることができる…
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寓話か、絵空事か──軍国主義の影を直視できたか

山田剛志(映画チャンネル編集長)

【採点評価】2・5点

 劇中、堤真一演じる山下少尉が視線の先に食糧を発見するシーンが2度ほど描かれるが、いずれも、堤のバストショットに続く彼の視点ショットは対象を明瞭に捉えず、我々観客の目にはたんなる実景に映る…
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【著者プロフィール 中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。

【著者プロフィール 村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

【著者プロフィール 近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。

【了】

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