「誘拐された犬はどこへ…」
キャラクターとストーリーの渋滞
「伏線だらけの99分」という謳い文句だが、その伏線を回収するには99分では足りず、やや消化不良感も残る。それでも風真とアンナのブッ飛んだキャラクターは健在である上、奥平大兼が演じるAI開発者の姫川が事実上、事件を解決するキーマンとなっている。
主人公・アンナの父は、遺伝子研究者・立花始である。彼女は、ゲノム編集した受精卵から産まれ、さらにそのデータを“形見”として託されたことから命を狙われ続ける運命にある。
悪夢に悩むアンナの家を風真が訪ねると、強烈な電磁波が測定され、マンションの壁に仕込まれた機械から電磁波攻撃を受けていたことが明らかになる。本作で唯一、探偵映画を思わせるシーンだ。その部屋は、家賃・敷金・礼金無料という破格の条件で入居していた部屋であり、金欠のアンナの足元を見て仕掛けられた“罠”だったのだ。
劇場版らしいカースタントなどのアクションシーンも本作の見どころの一つだが、一方で、夢と現実の場面変化が非常にわかりにくく、ドラマ版の登場人物に加え、新たな登場人物も加わっているため、それぞれのキャラクターやストーリーが渋滞してしまっている。その上、当初の“犬探し”がいつの間にか解決してしまっているなど、脚本の粗が目立つ。