娯楽映画としては及第点だが…。
「探偵視線」から観ればツッコミどころ満載
監督の入江悠、脚本の秦建日子をはじめとした製作サイドが、どれほど探偵業界や探偵業法のことを勉強したのかはわからないが、探偵を本業としている者が見れば、苦笑いするしかないような稚拙な脚本と言わざるを得ない。
このような探偵など、存在するはずもないからだ。万が一存在したとしても、たちまち公安委員会から営業停止命令か廃止命令を食らうのがオチだろう。
探偵視点から見れば突っ込みどころ満載の脚本ではあるが、「探偵」という枠を大きく外れた、コメディーやアクションに振り切った娯楽作としては一定のクオリティに達した作品だと言えよう。
また、主人公のアンナがストーリーを通じてたくましく成長していく様は、まさに女優・広瀬すずの成長物語そのものにも見える。広瀬すずの役者としての引き出しの多さに感服させられるという点で、彼女のファンであれば劇場に足を運ぶことをお勧めする。
(文・寺島武志)