危険に見えるアクションと役者の安全の確保をいかにして両立させるか
―――実際に役者さんの動きを見て、ビデオコンテで想定されたアクションに変更が生じる場合もありますか?
「ありますね。役者さんにはリハーサルの前にビデオコンテを見てもらいます。その上で、役者さんから出てきた意見やアイデアをアレンジしてアクションに組み込んでいく。アクション監督の仕事は、ビデオコンテを制作して終わり、というものではないのです」
―――アクション監督は、監督が望むアクションを高い精度で具現化すると同時に、役者さんの体に過度な負担をかけないように気を配る必要があるかと思います。その辺りのバランスをとる上で、園村さんが意識されていることはありますか?
「仰ったとおり、役者の安全を確保するのは大前提。一方、アクションが危険に見えないと映像として面白くないのも事実です。
危険に見えるようなアクションを安全に行うためには、まず、我々アクション部で入念に検証することが大事だと思っています。殴り方一つとっても、相手に負荷をかけないで本当に殴っているように見せる方法はいくつもあります。
あとは基本的なことですが、役者さんが身につけるサポーターや倒れ込む時に使うマットを手配するのも我々の仕事です。一見簡単そうに見えるかもしれませんが、カメラの動きを見計らいつつ、人が倒れ込む瞬間にマットを差し込むといった作業は、映画のアクションに熟知していないと難しいものです」