激しいバトルは続編までお預け
『決戦』への期待を煽る絶妙なラスト
2023年6月には『3』が公開されることもアナウンスされており、3部作であることを鑑みると、本作の終盤の展開は非常に巧みである。「こりゃ、『3』を観なければ、収まりがつかんやろ!」と誰もが言いたくなる、なんとも続きが気になるショットで幕を閉じるのだ。
楽曲に例えるとBメロに例えられるだろうか。これからどんなサビが来るのか? と思わせたところで、終わる。ポジティブな意味でモヤモヤ感を残す構成なのだ。
『1』にてトーマンの抗争に巻き込まれて死んでしまったヒナタを救うために、タイムリープを慣行。結果、見事、ヒナタの死を阻止し、未来を変えることができたかに見えたタケミチ。本作のラストでは、20代になったデート中の2人が描かれる。車のハンドルを握っているのは、ヒナタで、タケミチは相変わらず、ウブな青年である。
しかし、幸福感に満ちた時間は長くは続かない。タケミチが降車している間に、ヒナタが乗った車に後続車が激突するのだ。裏で手を引いたのは、凶悪な組織と化したトーマンを裏で操る稀咲に他ならない。タイムリープで運命を変えたと思われたタケミチだったが、また別の理由でヒナタを失ってしまうのだ…。
ヒナタの弟・ナオトは肩を落としながら「結局、運命は変えられない…」と漏らすも、さらなるタイムリープを敢行し、ヒナタ救出に挑む…。これが本作のラストシーンである。
『3』への期待を否が応でも引き起こす、「いい意味でのモヤモヤ感」の正体とは、「またしてもダメだった…しかしまだ終わりじゃない!」というこの感覚に他ならない。諸悪の根源である稀咲の所業を塞ぐために、再び過去にタイムリープし、トーマンVSバルハラによる抗争を止めに入るわけだ。
『血のハロウィン編』という副題が冠されているが、サビは『3』へと続く。というわけで、『2』では、抗争のシーンはないので、激しいバトル展開を期待している方は、『3』が公開されるまで、グッと堪えるべしである。
ちなみに、本編開始前に「エンディング後も映像があります。最後までお楽しみください」というテロップが映される。こういうのは事前にアナウンスするのは野暮な気もするのだが…深いツッコミはやめておこう。